時事テーマから斬る自治体経営 「地域の雇用創出」における注意点
地方創生には、若者がその地域で働きたくなるような企業の雇用創出が不可欠だ。自治体は地域企業の雇用を増やすためにどのような視点から何を重視し、どのような選択肢を取るべきなのか。雇用増に至るパターン分析から、自分の自治体には何が最適なのかを考えていく必要がある。
近年、地方創生に関係して「起業」が注目を集めつつある。地方圏が現役世代を呼び込むためには「雇用」が必要である。しかし、地方の雇用は都市と比較した上で貧弱である。貧弱と言うのは、雇用の「数」や「質」もそうであるが、バラエティに富んでない。
多くの現役世代は、働かなくては食べていけない。そのため「地方移住!」と声高に言われても、雇用がなくては移動することはできない。今回は雇用創出の視点と注意点を説明する。なお、第18回では起業する際の注意点を指摘しているため、そちらも参照されたい。
雇用増のパターン化
雇用の増加を検討する際は、議論を単純化するとわかりやすい。図は雇用増をセグメント化(細分化)している。図をもとに、説明していく。
図 雇用増のセグメント化

出典:筆者作成
まずは、「❶いまある事業者」と「❷いまはない事業者」に分けることができる。そして「❶いまある事業者」も細分化できる。言い方に失礼があるが、「❸やる気のない事業者」と「❹やる気のある事業者」である。さらに「❸やる気のない事業者」に対しては、大きく分けて「❺延命措置」と「❻業種転換」に関する政策(施策や事業を含む)を実施していくことになる。
少なくない自治体に見られるが、既存の雇用増を求めた政策を確認すると、事業者に対する補助金の提供による「❺延命措置」がある。もちろん、この政策も重要な側面がある。やや消極的な考えになるが、事業者が倒産等をすると、失業者が発生してしまう。その結果として、地域経済に負の影響を与えかねない。そこで「❺延命措置」も選択肢の一つである。
また、延命措置をしている間に事業者の意識が変化したり、世代交代がおきたりして、「やる気」になる可能性もある。
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