高温登熟耐性に優れる酒米「萌えいぶき」が守る広島伝統の酒造り
日本人の食生活の根幹であり、日本酒の原料にもなる米。しかし気候変動は今、その生産にも大きな影響を与えている。そんな中、高温登熟による米の障害に対して耐性を持つ酒米新品種が広島県で誕生した。「萌えいぶき®」として商標登録がされた新しい品種の特長や開発経緯について話を聞いた。
広島県立総合技術研究所 食品工業技術センター 研究員の荒瀬雄也氏(写真右)、
同 農業技術センター栽培技術研究部 研究員(エルダースタッフ)の勝場善之助氏
開発当初からの目標
高温登熟耐性を持つ酒米
古くから日本酒造りで知られている広島県。吟醸酒発祥の地であり、広島県の西条は、兵庫県の灘および京都府の伏見と並ぶ日本の三大銘醸地に数えられる。となれば広島県は当然、良質の酒米(酒造好適米)の産地でもあり、品種開発にも積極的に取り組んできた。その中で新品種として2022年1月に品種登録出願されたのが「広系酒45号」だ。2023年10月には「萌えいぶき®」という名で商標登録された。試験の開始は2012年。JA全農ひろしま、広島県穀物改良協会、広島県酒造協同組合、農研機構西日本農業研究センター(福山研究拠点)、そして、広島県立総合技術研究所の農業技術センターと食品工業技術センター、これら5機関がそれぞれの得意分野を活かして共同研究を行い、10年という歳月をかけて生み出された。
草丈が短く、倒伏に強い「萌えいぶき®」。強風や豪雨といった気象にも一定の抵抗性を示す
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