地区防災計画制度開始から10年 自発的策定が高める共助の力

「地区防災計画ガイドライン」が内閣府より出されて2024年4月で10年が経過した。地区防災計画とは、地区居住者等が自発的に作る地区の防災活動に関するボトムアップの計画であり、国や自治体が行うトップダウンの計画とは異なる。住民それぞれが当事者となり防災に取り組むことが最大の特徴だ。

磯打 千雅子(香川大学 地域強靭化研究センター 特命准教授)

「防災」というテーマが
地域づくりの推進力になる

地区防災計画制度が始まった背景にあるのは、2011年3月に発生した東日本大震災。大きな被害が出る中で地区住民や事業者らによる「自助・共助」の重要性が改めて認識された。災害発生時、公的支援が届くまで大きな役割を果たすのが「地域」だ。その防災力を高めるために、地域を最もよく知る住民や地元の企業が自分たちで計画を作り、各市区町村防災会議に対して提案することができる、と定めたのが地区防災計画制度である。同制度を研究テーマとしている香川大学の磯打千雅子特命准教授は「災害が続く中、ますます社会的に重要性が高まっている制度だと思います」と話す。

磯打氏が密着して研究してきた地区の1つが岡山県津山市の城西地区。もともと地域づくり活動が盛んな地域で、人口減少を課題ととらえる若い世代も積極的に地域活性化、まちづくり活動にかかわってきた。各地で担い手不足が問題となっている消防団にも若手が在籍している。地区防災計画制度が始まってすぐ、内閣府のモデル事業地区となりこの計画策定に取り組み始め、2020年に地区の全世帯に計画書が配布された。

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