編集部総論 安全の実現に、新事業の可能性を探る
夏休みに発表された南海トラフ臨時情報「巨大地震注意」。猛暑の中で相次ぐ台風の発生も相まって、社会が防災と改めて向き合う機会になった。自然災害への対応と、食料安全保障、サイバーセキュリティの側面から、暮らしの安全を守る新ビジネスを考えたい。
9月1日は防災の日。今回の特集では、自然災害への備えや、食料安全保障、サイバーセキュリティなどを取り上げ、安全を守りつつ、何かあってもすぐに復旧が可能な「レジリエンス」を実現する事業の構想に必要な様々な提言、知見を集めた。
初の「巨大地震注意」発表
複合災害の可能性も高まる
この夏、日本に暮らす人の多くが防災・減災について考えざるを得なくなる出来事があった。気象庁が南海トラフ臨時情報の「巨大地震注意」を初めて発表したのだ。8月8日に宮崎県日向灘を震源とする最大震度6弱の地震があり、「今後1週間以内に大規模地震が発生する可能性が平時より高まっている」とされた。1月1日に発生した能登半島地震の復旧も途上にある中での衝撃のニュースだった。
南海トラフ臨時情報には防災対応に応じて調査中、巨大地震警戒、巨大地震注意、調査終了の4パターンがあり、今回発表された「注意」では、備蓄や避難場所の確認などが呼び掛けられた。また消防庁は、南海トラフ地震で震度6弱以上の揺れなどが想定される「防災対策推進地域」に対し、避難態勢の準備などを住民に呼びかけるよう求める通知を出した。これに該当するのは29都府県、707市町村にのぼる。例えば大阪府では8日午後に防災・危機管理指令部を立ち上げ、翌9日には府内43市町村の危機管理担当者によるオンライン会議を開催。他の自治体でも災害対策本部の設置や24時間体制での情報収集などの対策が取られた。気象庁は8月15日に「政府としての特別な注意の呼びかけの終了」を発表したが、日ごろからの地震の備えについては継続を求めている。
全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。
-
記事本文残り85%
月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!
初月無料トライアル!
- 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
- バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
- フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待
※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。