福岡と由布院 都市と観光地の未来戦略

天神ビッグバンなど再開発プロジェクトが進む福岡市。有名な温泉地として保養の街を目指す由布院。都市と地方観光地のそれぞれの価値や役割、街づくりの在り方とは。建築家として福岡を中心に街づくりに携わってきた松岡恭子氏と由布市まちづくり観光局代表理事で玉の湯社長の桑野和泉氏が対談する。

松岡 恭子 大央 代表取締役
建築家、スピングラス・アーキテクツ代表取締役

福岡市に本社を構える総合不動産企業、大央の代表を務める松岡恭子氏は、建築家として、長く福岡市を中心とした街づくりに携わってきた。福岡市が主導する大規模な再開発プロジェクト、天神ビッグバンにコンサルタントとして関わり、2020年から3年間開催された社会実験「One Kyushuミュージアム」を発案、総合プロデューサーも務めた。由布院では、老舗旅館・玉の湯が提案する新たなコンセプト「新湯治」を実現するべく、「STAY玉の湯」の設計・建築を手がけた。

もう1人は、由布市まちづくり観光局の代表理事であり、玉の湯の社長も務める桑野和泉氏。100年前、林学博士の本多静六氏が由布院を訪れて「保養地を目指せ」と話した言葉を引き継ぎ、住んでいる人も訪れた人も健康になる、由布院100年の森を目指したまちづくりを進める。2024年1月にオープンした長期滞在型の宿泊施設「STAY玉の湯」では、暮らすように旅することで心身を癒す、新しい旅の形を提案している。

都市と観光地それぞれの思い
街づくりは長い時間軸で

── 福岡(都市開発)と由布院(観光地)の視点で、それぞれの街づくりについての考え方をお聞かせください。

松岡 福岡市の最新のトピックとしてはワン・フクオカ・ビルディングのオープンがあります。GW直前のオープンで、連休中は多くの人で賑わいました。とかく訪問者数や店舗数に注目が集まりがちですが、このトピックは街づくりとして捉えるべきだと思っています。どのような街を目指し、そのためにどのような建物をつくるか。その中にはどんな場があるべきか。このビルが、壊された3つの建物のどんなDNAを受け継いで、新しい形で活かそうとしているのか。過去から現在、そして未来という時間軸で、定点観測していくことが重要だと考えています。

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