海外の現状から考える 公共交通の苦境をライドシェアは打破できるか

ライドシェアの導入は、地方における交通課題の解決になりうるのか。流通経済大学経済学部の板谷和也教授は「ドライバーのなり手がどれだけいるかがカギを握る」と語る。都市、地方における公共交通の現状と課題、そしてライドシェア解禁がもたらす効果について聞いた。

板谷 和也(流通経済大学 経済学部 教授[大学院経済学研究科長] 博士[環境学])

世界を見ると稀有な
日本の鉄道経営スタイル

板谷氏は、都市工学や交通政策、交通論が専門領域であり、大学では交通論を担当。地方におけるバスや鉄道を持続・活性化するための戦略や運賃政策などを研究しており、欧米の都市交通事情にも明るい。

公共交通をめぐる世界各国の状況に目を向けると、特に鉄道、バスを中心に基本的には国や地方自治体が補助しないと事業が成り立たない構造になっており、「ニューヨークやロンドンなど大都市部の鉄道、バスでさえ補助金によって成り立っているのが現状」と世界の趨勢を説明。「人口密度の高い日本では黒字を出しやすい条件が整っており、特に首都圏において大手鉄道7社をはじめ民間事業者が自立運営できているのは、世界的にあまり見られない事例です」と日本の状況を分析する。

日本においても地方では、1980年代以降、自動車の普及によってまずバス路線が減少し、これを維持するために地方自治体が補助金を出す制度が整えられてきた。90年代以降その影響は鉄道にもおよび、規制緩和も相まって廃止路線が増えていった。「関西の鉄道各社も過去の蓄えでしのいできましたが、生産年齢人口が増える見込みがないなかで一部の事業者を除いて経営は厳しくなっています。東京23区内でさえ減便は始まっており、日本だけが特別ではなくなってきました」と述べる。

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