ライドシェアで住民の足を確保 AI活用したオンデマンドバスを導入
静岡県小山町は、住民や観光客の移動手段を、従来のコミュニティバスとAI活用のデマンドバスを組み合わせた独自の「小山町MaaS」へと転換しようとしている。来年度からは、定時定路線の巡回バスを試験的に運行し、誰もが行きたい場所に自由に移動できるまちを目指す。
人口減少とドライバー不足で
地域公共交通の課題が顕在化
町域に富士山頂を含み、金太郎生誕の地でもある静岡県小山町。2020年4月から運行を開始したデマンドバスの取り組みが、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局が主催する2022年度「夏のDigi田(デジデン)甲子園」の町村部門で全国ベスト4を受賞し、注目を集めている。
デマンドバスとは、利用者の要求(デマンド)があれば走行し、予約に応じたルートを予約に応じた場所から乗車するバスのこと。小山町では利用者がアプリや電話から、乗降場所と日時を事前に指定して予約する。アプリ運用をメインとしつつ、デジタルデバイド対策として、日中の電話予約を受け付けるコールセンターも設置している。
小山町役場 企画総務部 企画政策課 企画班の山口朋大氏はデマンドバス導入の背景を次のように話す。
「小山町では2014年10月から定時定路線型のコミュニティバスを導入しましたが、各地区と町の中心に位置する公共施設を結ぶルートで設定されていたため、地区間の移動は公共施設での乗り換えを前提とした運行になっていました。また、人口減少やドライバー不足で便数が増やせない上、乗り換えの待ち時間も長いことから、日中は乗客不在のまま運行することも少なくありませんでした。そこで、住民へのヒアリングや他の自治体への視察を行い、従来の定時運行路線を一部残しつつも、新たにデマンドバスを導入するという結論に達しました」
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