宇宙作業ロボットベンチャーのGITAI マーケットとしての宇宙に着目

宇宙において、人間の作業を代替できるロボットを開発しているベンチャー企業、GITAI。創業者の中ノ瀬氏は、地球と宇宙の環境の違いに着目し、自社ロボットの需要を見出した。2021年8月には国際宇宙ステーションにGITAIロボットを送り込み、宇宙での技術実証に備えている。

中ノ瀬 翔(GITAI Japan 最高経営責任者〈CEO〉)

GITAI Japan(東京都大田区)は、2016年に設立された、宇宙で人間に代わって作業する汎用ロボットを開発している企業だ。「宇宙に対して安価で安全な作業手段を提供する」を理念に、2021年8月には国際宇宙ステーション(ISS)に技術実験のためのロボットを送り込んでいる。

宇宙事業をいかに構想したか

創業者で社長の中ノ瀬翔氏は、GITAIが2社目の創業となる。1社目のIT企業を売却し、次にやるべきことを模索している時期に出会ったのがロボットの製作だった。

「昔からSFが好きだったこともあり、汎用ロボットを作りたいという思いが膨らんでいきました。個人のプロジェクトとして実際に作ってみたりもし、それから市場を探しましたが、そこで壁に直面しました」と中ノ瀬氏はいう。

工場のような限定された環境下で、決められた作業をこなしていく産業用ロボットは既に産業インフラとなっている。これに対し、様々な作業ができる汎用ロボットは、その複雑さから極めて高価な製品となる。このようなロボットに人間の労働を代替させれば、人件費を抑制できるのでは、と考える人は多いが、現実的には人間の方が低コストで質の高い仕事をするため、ロボットを開発しても買い手がつかない。

中ノ瀬氏は、汎用ロボットの市場を探す中で、合理的な判断から宇宙という場所に目を付けた、と振り返る。「労働力としてロボットは人間にはかなわない。人件費の削減に使えないなら、交通費の削減に使えないか、と考えたときに、宇宙での作業を担うロボットというアイデアを思いつきました」。

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