廃棄物を宝に アフリカのサステナビリティ起点ビジネスが持つ可能性

ネリー・ゲサレ氏が起業したGreen Thing Kenyaは、廃棄物を価値ある製品へと変える事業である。(※本記事は2025年5月17日付で『Bird Story Agency』執筆、『Groval Voices』に掲載された記事を、許可を得て掲載しています。)

緑の壁の前でエコバッグを肩に下げた黒人女性
ネリー・ゲサレ氏とGreen Thing Kenyaのエコトートバッグ。Photo by Green Thing Kenya, used with permission

ケニアにあるゲサレ氏のエコ・コンシャスな店に足を踏み入れると、変化しつつある世界に入りこんだような感覚を覚える。

かつては廃棄物として捨てられていたガラス瓶が、今では洗練されたタンブラーやジャーに姿を変え、埋め立て処分されるはずだった布の切れ端が、魅力的なショッピングバッグや、再利用可能な食器用スポンジとして生まれ変わっている。

陳列棚の一つ一つが語るのは、廃棄ではなく再生の物語だ。ここが、廃棄物問題を盛況なビジネスへと転換させた、元ジャーナリストの現在の世界だ。Bird Story Agencyの取材で、ゲサレ氏はこう語っている。

「私はGreen Thing Kenyaを通じて、サステナビリティのストーリーとその中にある可能性を発信しています。私の目標は、サステナビリティをもっと理解しやすくし、環境問題だけでなく、もっと広範なシステム転換に関わるものとして提示することです」

さらにこう付け加えた。

「私たちは、環境にやさしい家庭用品、再生素材、サステナブルなテキスタイルに力を入れています。他ブランド向けのホワイトラベル製造も手がけているんですよ」

ホワイトラベル製造とは、製造した製品をほかの小売業者に販売し、その小売業者が独自のラベリングやカスタマイズできるようにする形態だ。

ケニアで高まるエコ製品への需要

Green Thing Kenyaは、Ecandi、EcoSafi、MokoMayaといった、ナイロビで数多く活動するアップサイクル系ブランドの1つだ。

国連環境計画(UNEP)のサステナビリティ専門家であるシンシア・アティエノ氏によれば、同地域でこうしたエコブランドが増えていることは、消費者の間でサステナブルな製品への志向が強まっている状況を示唆している。彼女は次のように説明する。

「Green Thing Kenyaのようなブランドが市場で成功を収めているのを見るのは、非常に心強いことです。サステナビリティは、一時的な流行ではなく、真のニーズと長期的な可能性を秘めた盛況な市場であると、あらためて証明しています」

この傾向は、ナイロビのような大都市を超えた、大きな広がりを見せている。

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