宇宙の知恵を地上に還元 宇宙飛行士訓練から新ビジネス創出
宇宙ビジネスを広い視野で捉えれば、極限環境である宇宙で培われた技術や知恵を、地上や社会に還元することも「宇宙ビジネス」に該当するだろう。教育や医療の分野で始まった2つの宇宙ビジネスを紹介する。
宇宙飛行士訓練方法を次世代型教育に応用
増進会ホールディングス(Z会グループ)と宇宙総合商社のSpace BD、JAXAは、宇宙飛行士訓練法をもとに非認知能力可視化ツールを開発した。
非認知能力とは、教科学力に代表される認知スキルとは異なり、自己管理能力やコミュニケ-ション能力など、測定・育成が難しいとされている能力の総称。予測不可能な時代を生きる子どもたちに必要な能力として注目されており、文部科学省の新学習指導要領においても、思考力や学ぶ意欲、人間性などの非認知能力の育成が掲げられている。
JAXAはこれまで多数の宇宙飛行士候補者を訓練してきた。宇宙飛行士には科学・工学などに関する専門性に加えて、宇宙での長期滞在を遂行するための非認知能力も重要になる。具体的には、異なる文化・価値観に対する敬意、優れたコミュニケーション能力、協調性、極限下での適切な判断力と行動力などが該当する。こうした人材育成ノウハウを社会還元することが本事業の狙いでもある。
この事業は、企業とJAXAが連携して新規事業を創出するためのプログラム「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」から生まれたもの。Z会グループは、JAXAから提供された宇宙飛行士訓練ノウハウを活用し、宇宙飛行士における資質・能力(コンピテンシー)を定義した「行動マーカー」を分析し、行動特性を構造化。その結果、宇宙飛行士の資質・能力はスキル・知識・態度の三層構造であり、新学習指導要領における「資質・能力」の3つの柱にも対応していることがわかった。
成果をもとに2018年に非認知スキル診断プログラムのプロトタイプを開発し、2019年度に私立海城中学・高校での試行を実施、その後、非認知スキル診断プログラム「DiscoveRe Method」を完成させた。
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