新しい挑戦で変革を乗り切る リスクを取れる人に機会を

脱炭素への動きが世界的に進み、DXやGXが叫ばれるなか、社会環境や産業構造は急速に変化している。経済産業省では、脱炭素社会の実現に向けた大規模な研究開発投資や、半導体産業の復活支援策などを計画している。また人的資源の開発では、社会の需要に合わせた人材のリスキリングを進めていく。

多田 明弘(経済産業省 経済産業事務次官)

脱炭素実現に挑戦
前例なくても恐れず実行へ

1990年代初頭に起きたバブル崩壊以降、低迷を続ける日本経済。

「『失われた30年』と言われますが、日本全体として足りないものはリスクを取ってチャレンジする精神だと思います」と、経済産業事務次官の多田明弘氏はいう。失敗を恐れる風土の中で、果敢に道を切り拓くファーストペンギンが、この30年、日本の企業にはなかなか現れてこなかった。一方で、政府においても「経済の話は基本的に民間が主役、市場に任せる」といった傾向があったことは否めない。日本人の協調性は長所でもあるが、多様性の時代に阿吽の呼吸ばかりに頼っていては革新は生まれない。前例にはない政策、今までとは違うソリューション。これからはそうしたものを、官も民も生み出していく必要がある、と多田氏は指摘する。

経産省として、ここ数年で取り組んでいる前例のない施策の1つが、2020年度からのグリーンイノベーション基金。同基金は、2050年カーボンニュートラルの目標へ向け、2020年度第3次補正予算でNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)に造成したものだ。政府のグリーン成長戦略において実行計画を策定している重点分野のうち、特に政策効果が大きい領域で、社会実装までを見据えてコミットメントを示す企業を対象としている。10年間という長期間にわたり、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援する。開始時に2兆円あった同基金は、2022年度の補正予算で計上した3000億円で、規模を拡充していく。

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