次代の賃貸不動産管理を提案する 2つのトップ企業
オーナーに代わって物件の管理などを行う賃貸物件管理各社は、オーナーと入居者双方へいかに魅力的な提案・サービスができるかを競う。「DK SELECT」を展開する大東建託、「シャーメゾン」を展開する積水ハウスという二大トップの動向を見る。
次代の賃貸不動産管理を提案する二つのトップ企業
賃貸不動産管理会社は、不動産オーナーの代わりに、マンション/アパート、商業ビルなどの賃貸物件の入居者募集・契約から、家賃集金、物件のリフォーム、メンテナンスなどに至る管理関連業務全般を請け負う。ある調査によると、管理物件数においてトップに立つのは「DK SELECT」ブランドを展開する大東建託グループで、「シャーメゾン」ブランドを展開する積水ハウスグループがこれに続く。
大東建託は、1974年、建物賃貸による土地所有者支援を行う大東産業として名古屋市に誕生、中途空室時家賃を保証する「大東共済会」を設立して賃貸経営総合支援体制を築いた。現在は共済会に代わる「賃貸経営受託システム」のもと、賃貸建物事業全般の他、ガス供給、介護なども手がける。
ゼロ・エネルギー住宅(ZEH)に積極的に取り組んでおり、2017年、国内で初めて「戸建ZEH」基準を満たす賃貸集合住宅を完成。その後もZEH賃貸集合住宅建設を積極的に推進し、入居者の生活の一次エネルギーを実質ゼロとすることで、2030年までに2017年比温室効果ガス排出量55%削減を目指す。また、ZEHの次段階として、建物のライフサイクル全体でのCO2排出量と、建物によるエネルギー創出によるCO2削減量の差をゼロ以下とする「LCCM賃貸集合住宅」を目指している。その開発・普及に向けて2014年から広島大学とともに研究を重ね、2022年にLCCM基準を満たす賃貸集合住宅を発売した。現中期経営計画でも、こうした事業を通じた環境・社会課題解決が社員の働きがいを生み、その力を最大化する方針が謳われている。
一方、積水ハウスは、1960年、積水化学工業ハウス事業部を母体に積水ハウス産業として誕生。戸建住宅の他、賃貸・事業用建物、賃貸住宅管理、都市再開発などを幅広く手がける。卓越した技術力と施工力、顧客基盤を礎に、住まいづくりの全プロセスを自社グループで担える総合力が強みだ。直近では積水ハウス不動産グループを、仲介・不動産事業専門の積水ハウス不動産、賃貸事業専門の積水シャーメゾン各社に再編、アフターサービス事業を分社化して業務効率化を図っている。
現中期経営計画では、賃貸住宅オーナー向けのソリューション提案多様化やリレーション強化による資産価値の最大化、入居者サービスの強化による低層賃貸住宅ブランド「シャーメゾン」のブランド力向上を目指す。ブランド力向上には、ZEHなど高付加価値物件の供給推進が欠かせないが、戸建では2013年発売のZEH「グリーンファースト ゼロ」が累積販売棟数約9万棟に達した。「シャーメゾン」でも、2020年度から各住戸に太陽光発電を接続する「入居者売電方式」を提案、住居ごとに専用の電気自動車(EV)充電設備を整備するなどによって、賃貸におけるZEH比率は77%になっている。
少子・高齢化をはじめとする社会の変容に伴って、賃貸不動産管理会社には今後、例えば見守りサービスのような入居者満足度の向上だけでなく、資産運用提案、高収益性物件の提案、さらにはZEHなど社会課題解決につながる持続可能な賃貸経営提案、オーナーに向けた多面的なコンサルティングなど、さまざまな役割が求められることになる。
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