社会的養護の現状と課題 職員の負担軽減にICT・AIの活用も
(※本記事はNTTデータ経営研究所ウェブサイト内の「経営研レポート」に2024年11月21日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
はじめに -社会的養護とは その現状と課題-
社会的養護とは、保護者のない児童や保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護すること、そして養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことである。
現在、社会的養護の下に置かれているこどもは約4.2万人(令和4年3月時点)1 にのぼる。かつては、親のないこどもや親に育てられないこどもが多かったが、現在では、虐待によって心に傷を負ったこども、障害のあるこども、DV被害を受けた母子などが増えている。
社会的養護に至る基本的な流れは、図1の通りである。虐待をはじめとした、不適切な養育環境が疑われる家庭について、通告・相談を受けた児童相談所が状況を調査し、必要に応じて一時保護を行う。その後、支援方針が検討され、必要と判断されたこどもは、児童養護施設などの施設への入所や里親家庭への委託などの措置がとられる。
1 こども家庭庁「社会的養育の推進に向けて」(令和5年4月5日)
【図表1】請求書などの伝達方法
社会的養護は、今後さらなる展開を必要とされる時期に差し掛かっている。令和4年2月10日に公表された社会的養育専門委員会の報告書では、里親、ファミリーホーム、施設の今後の在り方や、施設の小規模化、地域分散化の推進に向けた検討を開始することが提言された。
本稿では、近年の社会的養護の政策動向を踏まえ、現状と課題、そしてその課題を解決するために必要な方策について述べる。
1. 社会的養護におけるケアニーズの実態・一時保護制度の現状
1-1. 社会的養護下にあるこどものケアニーズについて
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