海の課題を新発想の「地図」で解決 日本財団が新プロジェクト

凄惨な海難事故や海洋プラスチックごみ問題など、「海」を巡る課題が注目された2022年。日本財団は新たに、全国の浅海域の地形を測量・地図化する「海の地図PROJECT」を開始した。海難事故防止や環境保全、防災、産業振興などへ多様な貢献が見込めるプロジェクトだ。

海野 光行(日本財団 常務理事)

日本財団は2022年10月、日本全国の海岸線を測量し、海の地図を作成する「海の地図PROJECT」を立ち上げた。日本全国の浅い海域の地形を、航空機で測量し地図にしようと日本財団が乗り出したもので、日本初の取り組みとなる。

本プロジェクト立ち上げの背景について、日本財団常務理事の海野光行氏は次のように説明する。

「日本の海岸線は約3万5000kmと世界で6番目に長いにもかかわらず、水深20m以下の浅海域の海底地形情報は2%しか把握されていませんでした。従来、海底調査は船による音響測深によって測量されてきましたが、浅い海域に船が入ると、岩礁や浅瀬で座礁する危険があるため調査ができなかったのです。また、海岸や浅海域は省庁や行政の管理・所管体制が複雑で、浅海域を測定したくても調整・実行機関が不在だったのです」

しかし、長い海岸線を持つ日本において、浅海域の海底地形図の不備は水難事故や船舶事故、自然災害の防止、生態系の保全、海岸浸食への対策など、様々な分野の研究・技術の向上を停滞させる恐れがある。

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