ダイハツ 地域の移動を支える福祉介護・送迎共同化の新サービス

介護現場の人手不足が深刻化する中、ダイハツ工業が開発した福祉介護・共同送迎サービス「ゴイッショ」が注目されている。送迎業務を地域で一括し外部集約することで、職員の負担軽減と送迎の効率化を実現するサービスについて、同社の岡本仁也氏と中野公輔氏に話を聞いた。

文・矢島進二(日本デザイン振興会 常務理事)

 

岡本仁也(左)と中野公輔(右)ダイハツ工業株式会社コーポレート統括本部新規事業戦略室。「新たな地域で空き時間も活かした新たなモデルに取組んでいきますので期待してください」

運転免許を自主返還する高齢者が増える一方で、路線バスの廃線やタクシーの減少が続き「高齢者の移動手段の確保」が社会課題となっている。高齢者の4人に1人が既に“買い物難民”となっていると言われ、政府も移動販売や宅配サービスなどへの対策を急いでいる。そして買い物に次ぐ問題は、病気やリハビリでの通院と、福祉介護施設への通所に伴う移動手段だ。

「ゴイッショ」は、その“通所”に着目した新しい官民連携サービスだ。全国には送迎を伴う介護施設が約7万箇所あり、1日約150万人、1施設平均20人強の利用者がいると推定される。介護施設の業務において送迎は約3割を占め、大きな負担となっている。現状は各施設が個別に送迎を行い、多くの場合、介護職員がドライバーを兼ねているが、職員自体が不足がちな状況にある。

厚労省によると、2026年度には約25万人の介護職員が不足し、2040年には約57万人不足すると予測。人手不足が原因で倒産する施設も発生しており、介護事業は継続の危機にさらされている。

「ゴイッショ」の構想の起点は、ダイハツ工業の福祉車両の販売強化と次の車両開発のニーズ調査だ。同社新規事業戦略室の岡本仁也氏は、2015年から全国の販売会社と共に延べ約3万箇所の介護施設を訪問し、ヒアリングを重ねた。その過程で、車の機能や性能の改善に加えて「車を使う業務(送迎)」を支援する必要性を知る。

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