富士フイルム デザインの力で自社ならではの新規事業を創出

富士フイルムは、カメラや医療機器、化粧品など多岐にわたる事業で新規価値を創出しているが、化学メーカーならではの技術をデザイナーとの協働によって新規事業を発芽させた最新事例を紹介する。

文・矢島進二(日本デザイン振興会 常務理事)

河本 匠真 富士フイルム株式会社デザインセンター ソリューションデザイングループ チーフデザイナー。新規用途デザイン開発を担当

構造色の美しさに魅了

「構造色インクジェット技術」という一瞥しただけではデザインとは距離を感じるものが、2023年度グッドデザイン・ベスト100を受賞した。それは一人の気鋭のデザイナーが研究者とともに、社内のある技術の可能性に着目し、それをデザインの力で可視化して新しい事業の種を生み出したものだ。

構造色インクジェット技術

構造色とは、タマムシや貝殻、モルフォ蝶など鮮やかに見える色彩のことで、色素を用いず、光の反射によって生じる発色現象だ。CDやシャボン玉の膜も構造色である。同社はこの自然の発色現象に着目し、それをインクジェット技術でインク膜内に微細構造を形成し、構造色を発現させたのが「構造色インクジェット技術」だ。

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