岡島 スモール戦略で、百貨店冬の時代に新たな価値を生む

消費者のニーズや動向が変化している昨今、「百貨店の経営は厳しい」と言われることが少なくない。甲府で長年にわたり営業を続けてきた老舗百貨店の岡島は商業施設の一部フロアへの移転を選択し、百貨店の新たな道を模索している。移転から1年以上が経過した今、どのような変化が生まれたのか。

雨宮 潔(株式会社岡島 代表取締役社長執行役員)

戦前から営業する老舗百貨店
事業再生計画を策定

甲府中心街にある百貨店「岡島」は、地域住民より長年親しまれ続けてきた老舗だ。その歴史は古く、1843年(天保14年)に茶業で創業し、呉服業と両替商を経て、1938年より百貨店に業態を変更。県内2番目の百貨店として産声をあげ、地上5階建ての店舗を構え、営業をスタートした。

「終戦直前には甲府も大空襲に見舞われ、焼け残った店舗を改修しながら増床を繰り返してきました。1988年に大改装を実施し、売場面積3万2000平米と、当時の地方百貨店としてはトップクラスの広さを誇りました」と話すのは、株式会社岡島 代表取締役社長執行役員の雨宮潔氏だ。

高度成長期からバブル景気へと世の中の経済は右肩上がりに伸びていき、それに比例するように岡島は売場面積を拡大していった。だが、バブル崩壊とともに流れは大きく変わる。

「百貨店にとって高い集客を誇るアパレルがブランドの絞り込みを行った結果、売場が減少してしまい、売上も大きな影響を受けました。私は2018年に静岡伊勢丹の社長から現職になり、抜本的な対策を考え、2020年に経費削減を中心とした事業再生5か年計画を立ち上げました」

計画を実施しようとした矢先にコロナ禍になり、さらに経営は逼迫していった。ただ、そのなかで思案し、実施した施策が当たり、「2020年度は全国の百貨店で岡島が唯一、黒字化を果たした」という。

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