猫 トレーサビリティを開示した、安心安全なペットフードを提供

ペット関連市場は伸長を続け、今後も伸びていくという予測がある。特に拡大しているのが高価格帯のプレミアムフード需要だ。ペットの食への注目が高まるなかで、原料や製造方法にこだわった天然鹿肉のペットフードを開発・販売している猫株式会社の戦略について、代表取締役の小林一樹氏に聞いた。

小林 一樹(猫株式会社 代表取締役)

拾い猫をきっかけに
食に疑問を抱く

天然鹿肉を原料としたペットフードを販売している猫株式会社。人工添加物や合成保存料が不使用で、トレーサビリティ(生産地や流通の履歴)を100%開示し、ペットにとって安心で安全な食を提供している。

創業のきっかけは、同社代表取締役の小林一樹氏が19歳のときに拾い猫を育てたことだった。「1年半ほど経った頃に猫が結石になり、病院で処置をした後も療法食を食べ続けなければならないことに疑問をもちました。その頃にペットフードのリコールが起きて、多くの犬猫が命を落として。そこから自分で手作り食を始めたのです」と当時を振り返る。

食に興味をもった小林氏は大学卒業後、国内素材を中心に扱い、厳しい自社基準をもつ生協である生活クラブで製品開発に携わり、食への知見を深めていった。9年間の会社員生活を続けた後、「猫のフードをちゃんと仕事としてやりたい」と思い立った頃に、近所のイオンで地元のビジネスプランコンテスト「Mt.Fujiイノベーションキャンプ」の貼り紙を目にする。2015年、33歳のときだった。

「ビジコンに出したアイデアがトレーサビリティの明らかな国産の自然食材だけを使った、猫好きがつくる猫のためのフードでした。僕が知る限り今もそういうものはほぼありません。僕自身が猫に生産者がわからない食事を与えることは嫌だったので、自分でそういう会社をつくりたいと思いました」

そのプランがビジコンで2位を獲得。数カ月後に猫株式会社を創業する。小林氏が当初こだわったのは、野菜の生産も畜産も加工も全て自社で行うことだった。

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