ヴィンヤード多摩 ワイン造りで農福連携、共生社会を推進
奥多摩の豊かな自然が広がる、東京都あきる野市。この地で約8年前からぶどうを育て、ワイナリー「ヴィンヤード多摩」を経営するのが、歯科医の森谷尊文氏だ。趣味が高じて始めたワインづくりがビジネスに発展していった経緯やこれまでの苦労、今後の構想などを、森谷氏に聞いた。
ぶどう栽培から醸造の全てを
都内で行うワイン「東京ルージュ」
国産ワインの産地と言えば山梨県・長野県・北海道などが思い浮かぶが、東京都内でぶどう栽培から醸造、販売まで全てを手がけているワイナリーが、「ヴィンヤード多摩」だ。10カ月間樽で熟成された赤ワイン「東京ルージュ」は、2018年にワインの産地に関する法律が厳格化されてから初めて、“東京”と名乗ることを許された同社のフラッグシップで、あきる野市ふるさと納税の返礼品にもなっている。同社は現在、「東京ルージュ」のほか、あきる野産モンドブリエ100%を原料とする「東京ブラン」、ヤマ・ソーヴィニヨンを主体に、マスカット・べーリーAなどをブレンドした「のらぼう」など約20種類を製造している。
ヴィンヤード多摩代表の森谷尊文氏は、歯科医を本業としており、若い頃からのワイン好き。1999年にイタリアから帰国するJAL便内で、英語圏だけで開講されていた「Wine & Spirit Education Trust」が日本でも始まると知り、2000年9月から数年間受講した。
「その後、ボルドーまで実地検分に行ったり、西多摩三師会で主賓に出すワインを選ばせてもらったりと、あくまでも趣味として楽しんでいました。ところが2007年、三師会の有志でやっていたワイン会(5大シャトーを飲む会)に、『青梅市の梅郷に、プラムボックスウイルスの蔓延で伐採することになった梅林があるので、ぶどうを植えてみないか』という提案が舞い込んできたのです」(森谷氏)
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