小池百合子・東京都知事 希望に満ちた持続可能な首都東京
これまで東京の大改革を進めてきた小池百合子・東京都知事。東京都の理想の未来を目指す「『未来の東京』戦略」は2021年の策定から毎年更新を重ねている。激動する情勢のなか、厳しい状況を打破するにはゲームチェンジが必要であり、そのための構想力が問われていると言う。
――2023年1月に、「『未来の東京』戦略version up 2023」を発表されました。戦略のポイントをお聞かせください。
「『未来の東京』戦略」は、私たちが目指す理想の未来を展望して、2021年に策定しました。世の中の変化・変革を踏まえて2022年にバージョンアップしましたが、その後も長引くコロナ禍や、異常気象による自然災害に加え、国際秩序の不安定化やエネルギー危機など、世界情勢は目まぐるしく変貌し続けています。こうしたなかで、わが国も厳しい状況に置かれています。
毎年スイスのIMD(国際経営開発研究所)が「世界競争力年鑑」を発表しています。日本は同年鑑の公表が始まった1989年から1992年まで1位を維持していましたが、2022年版では63カ国・地域中、34位まで順位を下げました。
さらに、国内では人口減少が進んでおり、2022年の出生数は約77万人、亡くなられた方の数は約157万人で、自然減は約80万人。練馬区の人口が約74万人ですから、この1年で一つの区が消えたことになります。これは由々しき事態と言わざるを得ません。
米ジョージタウン大学の教授を務めたレイ・クライン博士の「国力の方程式」をご存じでしょうか。「人口+経済+国防」×「戦略・意志」で「国力」を算出する方程式です。そのなかで人口は国力の基本となる大きな柱ですが、先ほど申しましたように、日本では人口減少が進んでいます。経済もプラスマイナスはありますが、例えば貿易収支は21.7兆円の赤字です。国防も、いま東アジア情勢は予断を許さない状況です。
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