にんべん 伝統の本枯鰹節だし文化を守りつつ、新市場を開拓

日本の食文化に欠かせない「だし」。320余年にわたり鰹節を通じただし文化を伝承しているのが、日本橋発祥のにんべんだ。水産資源の減少やギフト需要の低下が進むなか、同社はどのような挑戦を続けているのか。同社の事業変革と現在の成長戦略を、13代当主の髙津伊兵衛氏に聞いた。

髙津 伊兵衛(株式会社にんべん 代表取締役社長)

数々の困難を乗り越えてきた
にんべんの320余年の歴史

食の都・江戸の伝統が息づく日本橋。この地で1699年に創業した鰹節専門店のにんべんは、320年以上もだし文化を伝承し続ける業界最古の企業だ。初代・髙津伊兵衛が、戸板を並べた露店で鰹節と塩干物を売ったのが始まりだと言われている。1704年に鰹節問屋を開業し、その翌年、屋号を伊勢屋伊兵衛、商号を「カネにんべん」に定めたという。13代当主で現社長の髙津伊兵衛氏によれば、創業時の成長を支えた要因は2つある。1つは、加賀藩の御用商人として大口取引を得たこと。もう1つは、「現金掛け値なし」という新商法を実践したことだ。

「相手を見て価格を変えたり、掛売り(後払い)が当たり前だった時代に、正札通りの価格を提示するという画期的な商法で、町民から圧倒的な支持を得ました。小口取引で顧客層を拡大した結果、武士が没落した後も乗り切ることができたのです」

初代亡き後は元禄バブルが崩壊し、経営は大きく傾いたが、3代目や6代目の立て直しによって息を吹き返すこととなる。

「天保年間に、銀でできた商品券を発行したことがきっかけです。銀と同等の価値の商品券を渡し、後から鰹節と交換することでキャッシュフローを改善したのです」

近代になると、江戸時代後期から明治時代にかけて製法が確立した「本枯鰹節」を主軸とした商品展開を進めた。本枯鰹節とは、カビ付けと天日干しを繰り返して発酵・熟成させた最上級の鰹節。鰹を燻して乾燥させた「荒節」や、荒節にカビ付けした「枯れ節」に対し、本枯鰹節は芳醇な香りと深いコクといった特長から、料亭やホテルなどで使用されている。

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