FCVは本当に普及するのか? 日欧の政府・メーカー戦略を分析

「FCV(燃料電池車)は、これからどうなるのか?」。そうした質問を最近、クルマに関わる各種業界関係者から受ける。なぜ、そうした疑問が出てくるか?その背景について、各国の自動車メーカーの戦略など様々な視点から検証してみたい。

東京都交通局では2018年から、一部路線で燃料電池バスを運行。2022年8月、JR東京駅で筆者撮影

欧米はEVシフトを鮮明に

まずは、欧州での急激なBEV(電気自動車)シフトによるFCVへの影響から見ていく。

いま、欧州連合(EU)の執務機関である欧州委員会(EC)が、欧州グリーンディール政策を強力に推進している。達成目標として「2035年までに欧州内で販売する新車100%を事実上、ZEV(ゼロエミッションヴィークル)とする」を掲げる。ZEVとは具体的に、BEVまたはFCVを指し、プラグインハイブリッド車やハイブリッド車は含まれないという解釈だ。

これに対応する形で、欧州自動車メーカー各社は2020年代に入り相次いで、大幅なBEVシフトを表明した。

例えば、世界自動車産業界での新技術に関するベンチマークといえるドイツのメルセデス・ベンツは「市場環境が整えば、2029年までにグローバルで新車100%BEV化する」と発表している。そのほか、ボルボ、ジャガーなど、欧州メーカーのZEV事業方針はBEVが主体であり、FCVについて具体的な記載がないのが実状だ。

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