自治体で広がる「水素エネルギー戦略」策定 カギは地域資源力

地域の脱炭素やエネルギー自立を促進するために、水素エネルギーに関するビジョンや戦略を策定する自治体が増えている。自治体に求められるのは、地域特性や地域資源を活かした水素サプライチェーン構築だ。先進的な自治体の取り組みを分析する。

北海道鹿追町では、国内初の家畜ふん尿由来のバイオガスから作られる水素の供給事業を行う合弁会社「しかおい水素ファーム」が誕生

バイオガスなどの地域資源で
「地産地消」の水素実装へ

太陽光や風力、水力、温泉熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーの宝庫である北海道。一方で、積雪寒冷地域のため、他の地域に比べて暖房・給湯用の石油系エネルギー消費が多く、広大な面積故に移動や輸送に多くのエネルギーが消費されているという課題もある。

北海道は2050年の「ゼロカーボン北海道」を目指し、「北海道水素社会実現戦略ビジョン」を策定。再生可能エネルギー由来の水素や水素利用機器などの導入を促進し、製造から利用まで「水素エネルギーの地産地消を基本としたサプライチェーンを構築」することを目指している。

道内ではこれまで、環境省やNEDOの支援事業として、家畜ふん尿由来のバイオガスから製造した水素の地域内活用(鹿追町および帯広市)、ダム小水力発電由来の再エネ水素導入拡大と水素サプライチェーン構築実証(釧路市および白糠町)、風力発電由来水素の貯蔵・輸送・利用実証(室蘭市)など、地域資源を活用した地産地消型の水素化の検討が官民連携によって進められてきた。今後はこれらの実証成果の事業化や道内における横展開が期待される。

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