水素調理器や商用水素発電所など続々誕生 「日本初」の水素技術

水素社会の実現と、拡大する水素ビジネスでチャンスを掴むために、大手企業やスタートアップの事業開発が活発に行われている。水素燃料電池ドローンや水素調理器、商用水素発電所など、日本初・世界初の技術が多数登場している。

JR東日本
水素ハイブリッド電車の実用化へ

JR東日本の水素ハイブリッド電車「HYBARI」

JR東日本は2022年2月、国内で初となる水素ハイブリッド電車「HYBARI(ひばり)」を公開した。国内初の営業運転に向けて、3月下旬に南武線や鶴見線の一部区間で走行試験を開始し、2030年までの実用化を目指す。

HYBARIは水素をエネルギー源とするハイブリッド車両(燃料電池) 試験車両として、日立・トヨタとの3社連携によって開発された。その仕組みは、列車に搭載されたタンクに水素を充電し、燃料電池装置に水素を供給後、空気中の酸素と化学反応させて発電する。燃料電池からの電力や、蓄電池に充電されたブレーキ作動時の電力などを使って車両を動かすため、走行時にCO2を発生させない。

JR東日本は鉄道車両の設計・製造を、トヨタは燃料電池装置の開発を、日立はハイブリッド駆動システムの開発を担当する。

Jハイブリッド電車の開発体制

開発の背景にあるのは、JR東日本が2020年5月に策定した「ゼロカーボン・チャレンジ2050」だ。グループ全体で鉄道事業におけるCO2排出量を、2030年度には現在の約半分に、2050年度に実質ゼロにするという環境長期目標を掲げている。

鉄道はトラック輸送などに比べCO2排出量は少ないものの、ディーゼル車両を多数保有していることから、CO2フリーの達成にはこれらの置き換えが必要だと考え、試験車両の開発に至った。水素ハイブリッド電車はCO2の排出量削減だけでなく、架線や変電所が不要なため設備の削減にもつながる。今後はディーゼルで走る地方路線を中心に導入し、脱炭素化を進める方針だ。

 

ロボデックス
日本初の水素燃料電池ドローンを開発

ロボデックスが開発した日本初の水素燃料電池ドローン「Aigis One」

産業用ドローンの開発・販売を行うロボデックスは、日本初の水素燃料電池ドローン「Aigis One(アイギス・ワン)」を開発し、2021年11月18日に試験飛行に成功させた。2022年度に最大2時間の飛行を目指している。

Aigis Oneは物流をはじめとした社会実装の実現に向けて開発したドローン。搭載した水素貯蔵用高圧ガス容器から水素を燃料電池に送り、飛行させる。高圧水素を載せての飛行は安全管理が厳しく求められており、万が一落下した場合に備えた安全対策を講じるとともに高圧ガス保安協会の評価と経済産業相特認の取得、さらに国土交通省の許可を得て行っている。

リチウムイオン電池などを搭載した従来の産業用大型ドローンは、10~15分程度の飛行に留まるため、長距離・長時間の移動が必要な物流への参入は進んでいない。これに対し、水素燃料電池で飛行させることで、物流や農業、建設、防災、保守点検など様々な分野の課題解決につながると期待されている。

全文を読むには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り75%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全文読むことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。