国内初のP2G事業会社が誕生 山梨を「水素技術の交差点」に

山梨県はCO2フリー水素の利活用を目指し、再生可能エネルギー電力から水素を製造し、貯蔵・利用するP2Gシステムの開発に取り組んできた。2022年には東レ、東京電力HDと共に、国内初のP2G事業会社やまなしハイドロジェンカンパニーを設立、さらなる飛躍を目指す。

やまなしハイドロジェンカンパニー等はグリーンイノベーション基金を活用して大規模PEM型水電解装置の開発に取り組む 出典:NEDO資料

P2Gは再エネ活用の切り札

山梨県は総合計画において政策目標のひとつに「環境と調和した持続可能な社会への転換」を掲げ、具体的な取り組みとして、クリーンエネルギーの導入拡大などに加えて「CO2フリー水素利活用に向けた実証研究」を挙げている。2018年には「やまなし水素エネルギー社会実現ロードマップ」を策定し、2030年度のCO2フリー水素サプライチェーンの構築と、水素エネルギーの利用拡大、水素・燃料電池関連産業の振興の3つを目標に掲げた。

施策の実行を担うのが、公営電気事業を所管する山梨県企業局だ。山梨県企業局は1957年に電気事業を開始、豊富な水資源を活かした県営水力発電所を27か所に整備している。2011年からは、米倉山太陽光発電所(10MW)を稼働するとともに、再生可能エネルギーを安定して活用するための電力貯蔵技術の研究開発に着手。2014年には米倉山に「電力貯蔵技術研究サイト」を開設し、系統の長周期変動対策としてP2G(Power to Gas)システムの技術開発を進めてきた。

再生可能エネルギーの電力により水素を製造し、貯蔵および利用するP2Gシステムは、長期間の貯蔵や輸送が可能な水素の特性を活かし、季節や天候の変化によって変動する再生可能エネルギーの発電量の安定化に資する技術の一つとして期待されている。

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