在宅医療とウェルビーイングが台頭 CES2023に見るトレンド

米国ラスベガスで1月に開催された世界最大規模のテクノロジー展示会「CES 2023」には、デジタルヘルス関連のソリューションが多数出展された。世界各国の企業から出展されたヘルスケア製品のアイデアから、今後のビジネストレンドが見えてくる。

2023年1月5~8日に米国ラスベガスで開催された「CES 2023」では、5Gやロボティクス、モビリティ、スマートシティなど最先端のテクノロジー領域で、3200社を超える出展者が技術を展示した。CESでは28のコンシューマー・テクノロジー製品カテゴリーにおいて優れたデザインとエンジニアリングを表彰するCES Innovation Awardsを実施している。本年は過去最多となる2100件以上の応募があったが、その受賞製品を中心にヘルスケア領域のトレンドを探りたい。

ニューノーマルを見据えた
在宅医療・健康管理デバイス

2021年、2022年のCESでは、新型コロナウイルス感染症対策のための消毒ロボットや症状検知センサー、スマートマスクなどの製品が数多く出展されたが、2023年のCESは、アフターコロナのニューノーマルを見据えた、IoTデバイスやアプリを活用して非対面方式で疾患を評価・治療できる個人用医療機器やホームヘルスデバイスの出展が目立った。

シンガポールのAevice Healthが開発した「AeviceMD」は、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの疾患に伴う肺の異常音を検知できる、AIを搭載したウェアラブルスマート聴診器だ。コインサイズの軽量なセンサーを胸に貼り付けることで、胸部音を連続的かつ受動的に分析し、測定値(呼吸数、心拍数、喘鳴、咳の頻度)をアプリに記録、症状を経時的に追跡する。医師が遠隔から患者の状態をモニタリングできるほか、有害事象の初期兆候が検出されるとアプリが警告し、医師のタイムリーな介入を促す。アプリには遠隔医療相談の機能も搭載している。Aevice Healthは本製品で、CES Innovation Awardのデジタルヘルス部門の最優秀賞を受賞した。

Aevice Healthのウェアラブルスマート聴診器「AeviceMD」

1億人超が糖尿病予備軍と言われる米国では、同分野のモニタリングシステムのニーズも大きい。米国Dexcomの「Dexcom G7」は、2歳以上の1・2型糖尿病や妊娠糖尿病の患者を対象としたCGM(持続グルコースモニタリング)システム。腕などにデバイスを貼り付けることでリアルタイムに血糖値を測定、Apple Watchなどのウェアラブル機器やデジタルヘルスアプリ、インスリン投与システムと連携する。高血糖値や低血糖値のレベルを警告し、家族やケア従事者との情報連携も可能だ。2022年末にFDAの認可を取得しており、本年内の発売を予定する。

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