岩谷技研 気球による宇宙遊覧で「宇宙の民主化」を実現する
大学在学中から「ふうせん宇宙プロジェクト」などの気球を使った宇宙事業開発に挑んできた、岩谷技研代表の岩谷圭介氏。高高度気球と気密キャビンの設計・開発に磨きをかけ、2023年度内にも「気球による宇宙遊覧」の商業運行を実現する見通しだ。現在の開発状況と今後のビジョンを岩谷氏に聞いた。
気球型宇宙船の第一歩は
「カメラ付き風船」
札幌市に本社を置く岩谷技研は、2023年7月、自社開発の高高度ガス気球により、最大到達高度6072m、飛行時間131分の有人飛行を成功させた。人間は、高度4000mを超えると生身での呼吸が難しくなるが、同社は気密キャビンを使うことで、外気圧の影響を制御し、酸素・二酸化炭素・水蒸気量などの内部環境をコントロールしている。この実証実験の成功は、同社が目指している2023年度内の「気球による宇宙遊覧の商業運行の開始」への大きな一歩となった。
岩谷技研代表の岩谷圭介氏は、幼い頃から宇宙やロケットに興味を持ち、北海道大学工学部に進学。宇宙航空システムを専門とする永田晴紀教授のもとで学んだ。
「大学4年の頃、学生が風船にカメラを付けて、宇宙から地球を撮影したという海外のニュースを見て、気球で宇宙ビジネスをつくりたいと考えるようになりました。ロケットで創業するには数千億円の資金が必要ですが、気球なら私でも始められると思いました」と岩谷氏は語る。
2011年、まずは小型の気球にカメラを取り付けて撮影する手法を確立させ、企業CM用の映像撮影などを受注する個人事業からスタート。やがて、「有人でも飛ばせるかもしれない」という発想に至った2016年に会社を設立し、少しずつ装置を大型化しながら、「宇宙体験」を視野に入れた実証実験に取り組み始めた。2020年7月に有人宇宙遊覧プロジェクトを始動させ、2021年6月には自社設計の無人気密キャビンを成層圏へ打ち上げ、回収にも成功。さらに、2022年2月に福島県で行った高度30mの有人係留飛行試験を皮切りに、ほぼ毎月ペースで飛行試験を繰り返してきた。
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