そら 衰退する地域の未来に対し、新たな打ち手を提示する

大学時代からの「北海道で起業する」という目標を叶え、地域創生ベンチャーのそらを立ち上げた米田健史氏。同氏の手腕を頼って舞い込む様々な案件に道筋をつけながら、衰退していく未来への打ち手を考え、地域創生の新たなモデルを示そうとしている。そらの発展経緯と今後の構想を聞いた。

米田 健史(株式会社そら 代表取締役CEO)

「十勝で起業」の夢を叶えるが
コロナの影響で事業転換

十勝の地域創生ベンチャーとして、近年注目を集めているそら。代表の米田健史氏は生まれも育ちも東京だが、北海道の魅力に取りつかれたのは北海道大学に進学してからのことだという。

「在学中に北海道を巡る中で、特に十勝地方が好きになり、『いつか北海道の役に立てる事業を興したい』という想いを抱くようになりました。大学卒業後は野村證券に入社し、約9400人が所属する従業員組合の執行委員長を経験しました。任期満了に伴い、希望して帯広営業所に異動したのですが、次の転勤前に『このまま十勝で起業しよう』と野村證券を退職しました」と米田氏は語る。

北大法学部で出会い、日本生命保険に勤めていた林佑太氏、野村證券で同じ組合専従だった水野彰吾氏を誘い、2020年4月に3人でそらを立ち上げた。

「当初はそれぞれの強みを生かして、経営者に金融の情報やノウハウを伝える事業や、子どもたちに対する金融の教育を行い、『十勝を金融最先端の街にしよう』というアイデアを温めていました。しかし、ちょうど会社設立がコロナの感染拡大期と重なり、目の前で大きな打撃を受けた飲食、観光業を放っておくわけにはいかず、事業の方向性を転換しました」

米田氏はまず、東京・赤坂にある「燻」のオーナーシェフと一緒に、十勝に冷燻工房を作ろうと決めた。そして土地探しをしていた時に、東京ドーム25個分の敷地で貸別荘コテージとグランピング事業を展開するリゾート施設「フェーリエンドルフ」のことを知り、その運営会社の経営に参画。コロナ禍で客足が止まっているタイミングを狙い、施設の大規模リニューアルを行った。現在、敷地内には冷燻工房のほか、中札内村主体で実施したガバメントクラウドファンディングの資金によって建設したスパ施設も整備されている。

左上/「フェーリエンドルフ」のコテージ内部 右上/屋外プライベート空間ではBBQを存分に楽しめる 下/冷燻工房で販売している冷燻マヨネーズ

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