須賀川特撮アーカイブセンター 世界に誇る「特撮」を後世に伝える拠点に

「特撮の神様」といわれる円谷英二監督の出身地、福島県須賀川市は特撮文化の「継承と発信」に取り組んでいる。その中心施設として2020年11月に開館したのが、「須賀川特撮アーカイブセンター」だ。中高生を対象とする「すかがわ特撮塾」を開催するなど、次世代の育成にも取り組んでいる。

須賀川特撮アーカイブセンター センター長 須田元大氏

ミニチュアなど、特撮映画の
貴重な「中間制作物」を収蔵

「特撮映画の制作で使用される背景画やミニチュアなどの『中間制作物』といわれるものは、撮影が終わると廃棄されてしまうのが普通です。しかし、これらは貴重な資料でもあり、この状況に危機感を持った特撮関係者らが、それらを集めて保存したいと考えたことが、須賀川特撮アーカイブセンターの設立のきっかけでした。また、設立の背景には、近年の特撮人気もあります」と同センター長の須田元大氏は語る。設立に向けて中心的な役割を果たしたのは、映像クリエイターで、自身も特撮ファンである庵野秀明氏だ。

「庵野氏らが2012年に東京都現代美術館で開催した『館長庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技』展には29万人以上が来場し、大きな反響があったことから、他の都市にも巡回することになりました。また、2017年には庵野氏を理事長とする認定特定非営利活動法人アニメ特撮アーカイブ機構(ATAC)も設立されています」

一方、須賀川市はゴジラやウルトラマンを生み出し、「特撮の神様」といわれる円谷英二監督の出身地であり、特撮を文化振興の柱の一つにしたいと考えていた。このような中で、2013年に文化庁メディア芸術情報拠点・コンソーシアム構築事業の一環で実施した「特撮塾@ふくしま」を機に、須賀川市の橋本克也市長と庵野氏の出会いと特撮に対する思いの共有により、須賀川特撮アーカイブセンターの設立に向けた構想が具体化。場所は市が提供することになり、元は公民館だった建物をリノベーションして、様々な中間制作物の収蔵を目的とする同センターを2020年11月に開館した。

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