Smart119 ICTを活用し、未来の医療を創造する

音声認識と人工知能(AI)を活用した救急医療支援システムの開発・運用などを行う株式会社Smart119は、千葉大学発のスタートアップ企業として2018年に設立された。情報通信技術(ICT)を使って医療現場の様々な課題を解決し、安心できる未来医療を創造することを目指している。

中田 孝明(株式会社Smart119 代表取締役 、
千葉大学大学院医学研究院救急集中治療医学 教授、
千葉大学医学部附属病院 副病院長)

救急患者の搬入が困難になる
「たらい回し」を解決

Smart119は救急医療の医師で、千葉大学大学院医学研究院救急集中治療医学教授(会社設立当時は講師)の中田孝明氏が代表取締役となって設立された。そのミッションは「安心できる未来医療を創造する」で、アナログ的な救急医療や医療現場の課題を、特に技術の力を使って解決しようとしている。

現在の事業で軸になっているのは、音声認識とAIを活用した救急医療支援システム「Smart119」、救急患者受入体制強化サービス「ACES」、医療事業継続支援システム「respon:sum(レスポンサム)」という3つのシステムの開発・運用だ。これらのシステムで、特許はすでに3件を取得している。

起業当初の目的は、救急医療機関の収容力不足から患者の搬入が困難になる「たらい回し」や、患者が救急車で運ばれて医療機関に入るまでに発生する時間のロスを解消することだったという。

「これまでのシステムでは、住民が119番に電話をすると、消防指令センターがその内容を口頭で救急隊に伝達していました。また、救急隊が患者を運ぶ際に収容できる病院を探したり、必要な場合は、空いている救急救命室(ER)や集中治療室(ICU)を探すことも、全て各医療機関に口頭で問い合わせなければなりませんでした」

中田氏は深刻な社会課題にもなってきた救急医療の課題について、こう語る。例えば、最初に問い合わせをした2つの医療機関で受け入れられず、3つ目でようやく受け入れが決まった場合、その間に15分以上の時間のロスがあるという。このような課題の解決に向けて中田氏らが提案した「Smart119プロジェクト」は2016年に、日本医療研究開発機構(AMED)の研究開発課題として採択され、約3億円の研究予算を獲得することができた。そして2018年にはSmart119を実装するため、このシステムと同名の株式会社を設立した。

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