辻製油 オンリーワン技術を応用し、オイルの潜在力を発掘

「人まねはしない、何処にもできないことに取り組む」という理念を掲げ、なたね油などの製油事業で培った精製・抽出技術を応用し、機能性素材やフレーバーオイルの製造を行う辻製油。オンリーワン技術を応用した事業で、世界にも活躍の場を広げる同社の強みの源泉とは何なのだろうか。

農作物の未利用資源から
新商品を生み出す

三重県は、戦前から菜の花の生産が盛んな地域だった。その環境を活かして、1947年、なたね搾油の事業を始めたのが辻製油の始まりだ。

その後、1961年にはコーン油の製造にも着手した。当時、東海地方には輸入トウモロコシからコーンスターチ(デンプン)を製造する業者が集まっていた。その製造過程で副産物の胚芽が捨てられているのを知り、これを安く仕入れて搾油を始めたのが、コーン油製造のきっかけだ。その後、胚芽油はリノール酸を多く含む油として注目されることになる。

「コーン油の製造を始めたのと同じ頃に研究開発を開始したのが、大豆レシチンです。大豆レシチンも大豆油を製造する過程で出てくる副産物で、自然界由来の唯一の乳化剤であることに注目し、研究開発をスタートさせました。成分の中に含まれる油を除去して乾燥させることによって、より乳化力が増す高純度粉末レシチンの製造に初めて成功しました」と同社代表の辻威彦氏は語る。

辻 威彦 辻製油 代表取締役社長

体内の正常な生理作用を補助する働きを持つレシチン。機能性素材として、食品・工業製品・医薬品・化粧品などに幅広く使用されている

さらに2010年頃からは、製油工程の抽出技術を応用し、ゆずから微量の精油を抽出する研究をスタートさせた。高知県を中心に作られているゆずは果汁こそポン酢などの用途として使われていたが、果皮についてはほとんどが捨てられていた。その果皮にある油胞に精油が含まれており、これを抽出する技術を3年がかりで工業化。高知県安芸市に工場を建て、ゆずフレーバーオイルの本格生産に着手した。

海外でも人気が高いフレーバーオイル

同社はこのように農作物の未利用資源を活用しながら、現在は製油事業、機能性事業、アグリ事業の3本柱で事業を展開している。

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