二軒茶屋餅角屋本店 老舗餅屋が拓くクラフトビールの未来

伊勢神宮近くで450年続く餅屋を経営する、二軒茶屋餅角屋本店。同社は1990年代にクラフトビール事業に参入し、国際大会で数々の栄えある賞を獲得している。社長の傍ら酵母研究で博士号を取得するなど、持ち前の情熱と行動力で多くの試練を乗り越えてきた鈴木社長に、その歩みや展望を尋ねた。

「餅は餅屋」で終わらせない
目指すは世界最高峰のブルワリー

伊勢神宮への参拝客が多く訪れる船着場の茶店として1575年に創業し、餅屋の傍ら味噌・醤油醸造業も営んできた二軒茶屋餅角屋本店。その450年を超える歴史を、21代目であり現社長の鈴木成宗氏は、新事業により大きく変えつつある。

鈴木 成宗 二軒茶屋餅角屋本店 代表取締役社長

その事業とは、1994年の酒税法改正を契機に、当時専務だった鈴木氏が開始したクラフトビール事業だ。1997年に「伊勢角屋麦酒(いせかどやビール)」ブランドを立ち上げると、紆余曲折を経ながらも、数々の世界大会で受賞を重ねる世界最高峰のブルワリー(ビール醸造所)へと成長を遂げ、今や売上の9割以上をビール事業が占めている。

左/伊勢神宮参拝客に親しまれてきた名物「二軒茶屋餅」 右/「伊勢角屋麦酒」を代表する定番ビール

「子どもの頃は実家の味噌蔵で遊び、大学時代は大好きな微生物の研究に没頭するなど、幼少期から『発酵』や『微生物』に縁がありました。そんな私にとって、1994年に規制緩和でビールの小規模醸造が可能になったことは渡りに船でした。餅屋の仕事に飽きて、何か新しいことしたいと思っていた矢先でしたから、ビールづくりを始めれば、また微生物で遊べると思ったのです。だから、事業構想はゼロ(笑)。一歩踏み出して壁にぶつかれば、その時にまた考えればいいと思って始めました」

蔵元での酒造り修行を経て、1997年にビール醸造所を開設。翌年からビール製造販売とレストラン事業を開始すると、当時はまだクラフトビールが珍しかったこともあり、多くのメディアに「伊勢に地ビールが誕生」と書き立てられた。

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