基本法改正のポイント 農業DXは緩やかな連携を目指せ

「農政の憲法」と位置付けられている「食料・農業・農村基本法」。 1999年の制定以来初となる本格的改正に向けて、衆議院本会議では既に可決され、現在は参議院での審議が進行中のため、本号が出る頃には成立している可能性が高い。改正のポイントについて、宮城大学の三石誠司教授に聞く。

三石 誠司(宮城大学 副学長、食産業学群教授)

改正のタイミングや
食料システムの明記は評価

食料・農業・農村基本法は農政の基本理念や政策の方向性を示すものであり、①食料の安定供給の確保、②農業の有する多面的機能の発揮、③農業の持続的な発展と④その基盤としての農村の振興の4点を理念として掲げ、国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図ることを目的としている。

国民の食料事情と直結する法律の改正について、食料・農業関連ビジネスの経営戦略を専門とする三石教授はどのように見ているのか。まず、「改正のタイミングは悪くなく、時代の流れに沿っている」と話す。

「法案改正の理由として国内外の食をめぐる状況の変化などの説明があります。1961年の農業基本法、その後の高度経済成長期を経て80年代以降は日本が豊かになりました。そこで食料・農業・農村の将来方向性を検討し、99年に基本法が制定されました。こうした流れの中で、今回の1つのポイントは『食料の安定供給の確保』から『食料安全保障の確保』と明確に変わった点です。従来、食料の安全保障は『良質な食料を合理的な価格で安定的に供給する』という国家安全保障としての観点が最優先でしたが、一人ひとりの安全保障という点も加味された内容へと変化しました。世界的な流れに沿っているのは良い点です」。

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