米アマゾン、全世界でプラスチック製エアー緩衝材を廃止、紙製に変更

今後は世界中で、Amazon Prime配送は紙の緩衝材で届くようになる。(※本記事は『Grist』に2024年10月18日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)


アマゾンの配送用段ボール箱の中に、プラスチック製のエアー緩衝材が入っている画像
Copyright: NoDerog / Getty Images / Grist

環境保護団体からの数年にわたる圧力を受け、グローバル規模の巨大小売業アマゾンは10月9日、同社の倉庫兼配送センターである「フルフィルメントセンター」から、ビニールやポリエチレンなどでできたエアー緩衝材を完全に撤廃したと発表した。現在、アマゾンの梱包に使われる緩衝材は全世界で紙製のものに統一され、家庭ごみの紙資源の日に回収できるようになった。

アマゾンは「当社はお客様と地球のために、配送方法の改善に取り組んでいます」と、ブログに投稿している。

この発表は、アマゾンが2024年6月に表明した、年内に北米からエアー緩衝材を「全面撤廃」するという約束の履行を意味する。当時、同社はすでに北米のエアー緩衝材の95%を紙製の緩衝材に置き換えているとしていた。それ以前に、アマゾンは2021年にオーストラリアでエアー緩衝材を廃止しており、2022年には欧州の倉庫から出荷される注文についても同様の措置をとった。

海洋環境保護の非営利組織であるオセアナ(Oceana)は、アマゾンのプラスチック使用について数年にわたり、主に同社のプラスチック使用量と海洋プラスチック汚染の負荷を数値化した一連の報告書を通じて、厳しく追求してきた。オセアナの戦略イニシアティブ担当上級副社長であるマット・リトルジョン氏は、今回のアマゾンの発表について、この段階的撤廃はサードパーティの販売業者からの発送品には適用されないとはいえ、「実に重要な動き」だと語る。アマゾンは自社販売以外の出荷が、売上全体のどれほどを占めるのかは公表していない。「世界最大級のeコマース企業がこのような措置を取ったことは、海洋と地球全体にとって素晴らしいニュースです」とリトルジョン氏は述べた。

それでもアマゾンは、まだ年間数万トン規模のプラスチックを他の包装形態で使用している。その多くは、宅配ビニール袋や緩衝材付きの紙封筒に使われている、薄いフィルム状のプラスチックだ。プラスチックフィルムは、事実上リサイクルが不可能なだけでなく、海岸地域で最も一般的に見られるプラスチックごみであり、そして大型海洋生物にとって致命的なタイプのプラスチックごみであるとされる。オセアナなどの環境団体は、アマゾンはすべての使い捨てプラスチック包装の撤廃に向けた期限を設定し、再利用可能な代替品の導入を進めることで、プラスチック削減の約束を強化すべきだと主張している。

「この企業にはさらなる取り組みを約束してほしい」と、リトルジョン氏はGristに語った。アマゾンの取り組みは、ほかの大手小売業者にもプラスチック使用削減を促す可能性があると話す。

続きは無料会員登録後、ログインしてご覧いただけます。

  • 記事本文残り66%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。