総務省のデジタル空間に関する有識者会議 情報流通の諸課題について議論
総務省の有識者会議は2024年9月、SNSなどのプラットフォーム事業者に対し、違法な投稿の削除やネット広告の審査強化を促す制度づくりを求める提言をまとめた。同会議で座長を務めた東京大学大学院法学政治学研究科教授の宍戸常寿氏に、その内容や今後の課題について聞いた。
情報流通の健全性確保の在り方
9月に提言まとまる
総務省では2023年11月から、有識者会議「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」を開催。検討会は2024年9月、提言の取りまとめを行った。総務省はそれ以前にも約5年間にわたり、「プラットフォームサービスに関する研究会」を実施し、その在り方や規制について議論してきた。
「デジタルプラットフォームについては他にも様々な省庁で議論がなされ、デジタルプラットフォーム取引透明化法(2021年2月施行)や、取引デジタルプラットフォーム消費者保護法(2022年5月施行)が制定されています。これらの法律はB to BやB to Cの取引に関するものであるのに対し、総務省の議論は情報通信の観点から行われています」。
宍戸氏は総務省の有識者会議について、次のように解説する。「プラットフォームサービスに関する研究会」ではまず、米Google社のGmailのような、プラットフォーム事業者が提供する通信サービスに対し、日本の電気通信事業法を適用すべきかどうかが議論された。また、プラットフォーム事業者によるインターネット上の利用者情報の取り扱いでは、「プライバシー保護の観点から規制が必要」という指摘がなされた。あわせて、偽情報や誤情報の問題についても議論の俎上にのせた。そして表現の自由を重視し、プラットフォームや社会の活動を見守るという内容の取りまとめが、2020年2月に行われた。
その後、コロナ禍でデジタル化が進んだほか、SNSでの誹謗中傷も大きな社会問題となった。これに対処するため、プロバイダ責任制限法の定める発信者情報の開示の手続が迅速化され、さらに同法は2024年に情報流通プラットフォーム対処法へと改正された。
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