編集部総論・数字で見る 高齢者・ケアラーの支援から新市場

国内でも将来20年にわたって拡大を続けると見込まれ、社会変革に伴う新たなサービス・製品の需要が生まれ、さらに海外展開の可能性も期待できる事業分野がある。高齢者と、そのケアをする人向けのビジネスだ。身近で誰もが関係する、この領域の現状と予測の数値をもとに、新事業を構想していきたい。

人口の既に3割が65歳以上
経産省は保険外サービス育成を推進

日本の全人口に占める高齢者の割合は年々増加し、2022年には65歳以上人口の割合は29%になった。令和5年版高齢社会白書の推計では、2045年に65歳以上の人口は3945万人となり、以降徐々に減り始める。同白書はまた、75歳以上人口がピークを迎えるのは2055年と予測している(図1)。少子化で若年人口、生産年齢人口が減る中で、人数の増加に伴う確実な市場の成長が期待できるのが65歳以上を対象とするビジネスなのだ。

図1 日本の高齢化の将来推計

2022年の時点で既に人口の約3割が65歳以上となっている。少子化のため総人口は減少するが、65歳以上の人口がピークを迎えるのは2045年頃、75歳以上の人口は2055年頃がピークと予測されている

出典:令和5年版高齢社会白書

 

高齢者のためのサービスは、今は存在しないものも含め様々なものが必要になると予測され、市場規模の面でも期待が大きい。例えば経済産業省は、2023年7月に公表した「新しい健康社会の実現に向けた『アクションプラン2023』」において、公的保険外のヘルスケア・介護に係る国内市場を2050年に77兆円にする、という目標を打ち出している。同市場の2020年の市場規模は24兆円だったので、30年で50兆円ほど成長させることになる。製品・サービスごとの市場規模予測も発表しており、高齢者が関係するものとしては、予防接種や衛生用品など予防にかかる分野の市場は2020年の0.2兆円から2050年には6.6兆円に、介護用食品、介護住宅、福祉用具などの要支援・要介護者向け商品・サービスの市場は5.2兆円から、13兆円まで成長すると推計している。

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