SGホールディングス 経営としての明確な意思がDX戦略の鍵

新サービスの提供に早い段階から着手し、いち早くデジタル化(DX)の課題を乗り越えたSGホールディングス。各時代の経営課題に対してDXを活用し、真摯に向き合ってきたことが成功の要因だ。現在は事業目標達成のため、サービスの強化を中心にデジタルを活用し、AIやロボティクスの開発にも取り組む。

谷口 友彦(SGホールディングス 執行役員DX戦略担当、
SGシステム 代表取締役社長、佐川急便 取締役)

経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」で指摘した「2025年の崖」。日本企業が経営改革とデジタル化を進めなければ、莫大な経済損失が生じると警鐘を鳴らした。多くの企業がDXの実現に頭を悩ます中、佐川急便を傘下に持つSGホールディングスでは、いち早く「2025年の崖」を克服している。持続的な競争優位性を得るために「成長戦略=DX」という方針を打ち出しているのも同社の特徴だ。

ITを活用し
宅配の利便性をいち早く提供

同社のこれまでのデジタル化には長い歴史があり、大きく3つのフェーズに分けられる。第1のフェーズは、1985~2004年にかけて。現在の便利な宅配サービスの基盤は、業界に先駆けてこの時期に生まれている。例えば、貨物追跡システムもその1つだ。また、ネット通販(EC)が普及し始め、商品が届くか不安な顧客向けに玄関先で荷物と引き換えにカード決済ができる「e-コレクト」というサービスもこの時期に開始した。

「当時は、多彩な新サービスやシステム開発はハードも含めてベンダーに依存していました。その結果、ベンダーロックイン(他社システムへの移行が困難になること)に直面し、2004~2005年にはITコストの高止まりが大きな課題となっていました」とSGホールディングス執行役員DX戦略担当の谷口友彦氏は振り返る。増大するITコストは経営陣の注意を惹き、全社的な経営課題と位置づけられた。

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