AIセーフティ・インスティテュートが活動を本格化 実装の足元を固める
企業のAI活用が広がる今、技術進歩と安全性の両立を目指す最新の動きを知ることは重要だ。日本では2024年2月、AIセーフティ・インスティテュート(AISI)が発足。国際的な連携を強化しながら基準策定や情報発信に取り組んでいる。AISIのこれまでの活動と、国内外の制度整備の動向を解説する。

平本 健二(AIセーフティ・インスティテュート 副所長/事務局長、独立行政法人情報処理推進機構(IPA) デジタル基盤センター長)
AIを安全に使うための支援組織AISI
国際的なネットワークに加わる
過去数年、人工知能(AI)は劇的なスピードで進歩してきた。AIのリスクをコントロールし、社会の中でAIを安全に利用するための取組を、AIの進化に見合った速度で進める必要がある。2023年5月、広島で開催されたG7サミットで、当時の岸田文雄総理大臣は生成AIに関する国際的なルールの検討を行うための「広島AIプロセス」を提唱。同年12月に包括的政策枠組みがとりまとめられ、AIの安全性に関するグローバルな議論が始まった。
並行して、英国と米国では最先端のAIの動向を評価し、安全性を確保することを目的とした機関「AIセーフティ・インスティテュート(AISI)」が設立された。これを受け日本においても、2023年12月のAI戦略会議で岸田前総理がAISIを設立することを表明。翌2024年2月、省庁横断の機関として日本のAISIが設置された。事務局は情報処理推進機構(IPA)に置かれた。
AISIは、AIを開発・利用するすべての関係者のための支援機関だ。AIを活用していくうえで、イノベーションの促進とライフサイクルにわたるリスクの緩和を両立する枠組みを整備する役割を担う。その具体的なテーマとして、AISI副所長兼事務局長を務める平本健二氏は「基準・標準づくり」「情報のハブ化」「国際的なネットワークづくり」の3点を挙げた。
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