バジル製造量1位のくにみ農産加工 地域とともにかけがえのない存在に
大分県の国東半島では、100軒の地元の契約農家が収穫した高品質バジルがくにみ農産加工に集められ、新鮮なうちにバジルペーストに加工され、急速冷凍保存して出荷されている。これらの仕組みは、まちぐるみで取り組む農業DX「バジル栽培管理システム(KUNIMIX CLOUD)」によって実現されている。

吉丸 栄市(くにみ農産加工 代表取締役社長)
第三セクターとして発足
くにみ農産加工は1981年に国見町(現・国東市)の第三セクターとして、地元の農産物加工を目的に設立された。設立当時は、米の減反政策やみかんの価格暴落などがあり、農産物の加工に活路を見出そうとしていた。大手食品メーカーの下請けが中心で、規模は拡大していったものの、地元の農産物で数量が足らない場合、時には海外からも原料を輸入して対応してきた。その結果、赤字が続き、借入金が増えて経営状況は悪化。そうした状況の中で、2代目社長の父から呼び戻されたのが、当時キユーピーに勤務していた吉丸栄市氏だ。吉丸氏は1998年にキユーピーを退職し、くにみ農産加工に入社した。
「入社当時はイチゴやホウレンソウ、玉ねぎ、人参など、最大300品目ほどを加工していました。食品メーカーから指定された品目をレシピ通りに加工する受け身の体質で、自らが考え、行動することがありませんでした。やみくもに多品種に対応することで生産コストも上昇し、赤字につながっていました。そうした状況のなか、思い切って戦略的に品目を半分に絞り込みました。どこででもできるものではなく、自分たちの地域が圧倒的に優位となる品目で勝負しようと発想を転換したのです」
バジルで起死回生
くにみ農産加工が位置する大分県の国東半島は、瀬戸内海式気候で年間を通じて降水量が少なく、晴れの日が多い。欧州の地中海にも似た気候で、イタリア料理に使われるバジル栽培に適している。当時は「イタ飯ブーム」もあり、バジルソースはパスタなどのイタリア料理に欠かせない調味料として家庭に徐々に浸透していた。
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