産総研のAI橋渡しクラウド 地域課題を解決するAI開発を支援

AI開発の競争が激化する中、計算資源の確保が重要課題となっている。産業技術総合研究所のABCIは、2018年の運用開始以降、国内最大級の計算能力を活用し、AI技術の発展を支えてきた。最新のアップグレードに伴い、地域課題解決に向けAIを開発するユーザーを支援する「地方優先枠」を設けている。

小川 宏高(AIST Solutions
プロデュース事業本部 事業プロデューサ)

AI技術の発展には、早く正確に計算を実行するコンピュータが欠かせない。ここ10年間に AI技術は大きく発展したが、その背景にはコンピュータの性能向上と集積化による計算資源の大幅な増加がある。AIのトレーニングでは計算を繰り返すほど、モデルの性能が向上する。米国のAI研究団体EpochAIの調査によると、AIのトレーニングに使われる計算資源は2010年から2024年5月までに、毎年4~5倍ずつ増加した。

高性能なコンピュータは高価であり、施設の整備や管理に人手が必要なうえ、大量の電力を消費するため、誰もが気軽に利用できるものではない。一方で優れたAIを開発するには相応の開発環境が必須になる。国際的なAIの開発競争が激化する中、計算資源の奪い合いが発生している。

このような状況を受けて、新しいアイデアを持つ研究者や開発者、スタートアップが、計算資源を手頃な価格で利用できるよう環境を整える活動が始まっている。日本では、経済産業省が2023年度に経済安全保障推進法に基づき「クラウドプログラム」による助成を開始、AIに欠かせない計算資源としてのクラウドサービスの提供を目指す企業は補助金を受けられるようになった。これを活用し、さくらインターネット、ソフトバンク、KDDIなど複数の企業がサービスを立ち上げている。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り76%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。