三井寺力餅本家 購入エリアを広げずに「希少性」を価値にする

大津の伝統和菓子「三井寺力餅」は、「ねとらぼ」の「滋賀県で人気の和菓子ランキング2024」で1位を獲得。顧客の大半は観光客ではなく地元の住民が占め、リピーターを多数抱え、経営基盤も安定している。その背景について、三井寺力餅本家の5代目で、代表取締役を務める滋野啓介氏に聞いた。

滋野 啓介(株式会社三井寺力餅本家 5代目/代表取締役)

弁慶の怪力に由来する
伝統の和菓子「力餅」

滋賀・大津で古くから愛され続けている銘菓・三井寺力餅(みいでらちからもち)。この地には比叡山全域を境内とする延暦寺と、琵琶湖南西に位置する三井寺があり、はるか昔には弁慶ら比叡山の僧侶が三井寺に攻め込み、寺内にある巨大な鐘を戦利品として比叡山まで引きずり上げたと言われている。その怪力にちなんで慶安の頃から餅を商いにする者が現れ、それが「三井寺力餅」の始まりとなり、その後は東海道・追分の宿場で旅人にふるまわれ、地に根付いた和菓子になった。

大津の本店では、その場でつくられたできたての「力餅」を楽しむことができる

三井寺力餅本家は明治2年(1869年)に創業し、伝統の技法を今もなお守り続けている。添加物や保存料は一切使用せず、毎朝、その日に製造するぶんだけの餅粉を蒸し、餅をつくる。団子状にして串に刺し、特製の蜜と、青大豆と抹茶をブレンドしたオリジナルの青いきな粉をかけて力餅は完成する。

同社5代目の滋野啓介氏は、還暦を過ぎた現在も、自らが早朝5時から製造現場に立ち、餅づくりを続けている。三井寺力餅本家の看板は、滋野家の同族で受け継がれてきた。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り76%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。