北川村ゆず王国 「ゆずコンビナート」形成で産業の安定を
2006年、高知県でも屈指のゆずの産地である北川村に、ゆずの加工場を開いた北川村ゆず王国。同社は、それまで使われていなかったゆずの皮を仕入れて加工する事業で売上を伸ばしてきた。商品開発や価格設定などでも独自路線を取る同社の事業戦略について、加藤社長に話を聞いた。
はちみつ製品の最大手がゆずを扱う事業に進出
ポン酢やゆずごしょうなどに使われる素材、ゆずは、日本全国で約2万2000トン(2018年)出荷されている。そのうちの50%を超えるシェアを誇るのが高知県だ。ゆずは高知県でひろく栽培されているが、その中でも江戸時代から栽培を始め、現在もトップクラスの生産量を誇るのが、北川村である。
この人口1200人ほどの小さな村に拠点を構え、年間8億円を超える売上をあげているのが、2006年に設立された北川村ゆず王国だ。しかし、その背景に「はちみつ」があることは、あまり知られていない。同社の母体は、東京・浅草に本社を持ち、売上高が130億円を超えるはちみつ製品の最大手、加藤美蜂園本舗なのだ。なぜ、はちみつを扱う企業がゆず事業を始めたのだろうか。
「1980年後半から1990年代にかけて、はちみつとレモン果汁を使用した清涼飲料水『はちみつレモン』が大ヒットしました。類似商品も大量に出回り、それまで年間約4万トンだったはちみつの需要が8万トンに倍増したのです。その需要に応えるために当社も生産力を強化しましたが、数年後、ブームが終焉。そこで、余ってしまった工場の生産力を活かすために、レモンと同じくはちみつと相性がいい『香酸かんきつ』に目をつけたのです」と、加藤美蜂園本舗と北川村ゆず王国の両社で社長を務める加藤禮次郎氏は語る。
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