四国の右下木の会社 徳島発、世界につながる森林資源の活用

国土の約3分の2を森林が占めると言われるほど日本は世界有数の森林国だ。だが、課題も多数あり、その1つは四国の右下木の会社 代表取締役の吉田基晴氏が実感した「資源が余り、需要がない」ことだ。それに対して同社は徳島伝統の樵木林業に着目し、新たな価値を生み出そうとしている。

吉田 基晴(株式会社四国の右下木の会社 代表取締役)

地域振興は
資源の活用が1丁目1番地

四国の右下木の会社は、徳島から日本の林業を変えようとしている。同社代表取締役の吉田基晴氏の原点はIT企業経営であり、林業に取り組み始めた経緯はユニークだ。

吉田氏は東京でIT企業を経営していた際に人材採用の課題を実感し、2012年に出身地である徳島県美波町にサテライトオフィスを開設した。遊びや暮らしと仕事を掛け合わせたワークライフスタイルを提案することで課題を解決し、翌年に本社を移転。さらに、2013年に美波町で新会社の「あわえ」を設立し、自らの実体験をもとに全国の地方自治体に対してサテライトオフィス誘致や人材育成の支援を始めた。

「2016年には家族で移住してきて、家に長年憧れだった薪ストーブを設置。薪を調達するために山に入ると、山は大きく育った木で資源にあふれているなと。調べてみると近年は薪や炭を使わなくなっているから伐採が絶え、おそらく日本の有史以来最も森林資源が多い時代であり、ビジネスチャンスであることに気づきました。ただ、資源があっても十分な需要がない、備長炭は高いニーズがあるけれど生産が追いついていないという課題もわかりました」

その後、3社目となる同社の起業へと踏み切った背景には、あわえで地域振興に取り組むなかでのさまざまな思いが吉田氏の中に蓄積されていたことが大きく影響しているという。

「地域づくりは都会のものまねをするのではなく、地域にある資源を徹底活用することが1丁目1番地。日本の場合、それは海洋資源や森林資源です。でも、従事者が減って高齢化が進み、地域の資源で食べられないからと若い人材が都会へ流れてしまう現実がある。そこがわかっていながら実践できていない心苦しさがありました」

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