おおいたCELEENA 大学発ベンチャーが竹資源を活用し地域活性
植物由来の繊維質材料のセルロースナノファイバー(CNF)は軽さや強度に優れている上に生分解性もあり、プラスチックの代替として注目されている。大分大学理工学部教授の衣本太郎氏は豊富な竹資源からCNFを作る技術開発に成功し、大学発ベンチャーを興した。
様々な課題をクリアし
竹を使う技術を社会実装
新素材として注目されるセルロースナノファイバー(CNF)は、一般的には木に含まれる3つの主成分「セルロース」「ヘミセルロース」「リグニン」からセルロースのみを取り出して作られる。大分大学の衣本氏が開発したのは木ではなく竹からセルロースを取り出し、さらに、ナノサイズの材料であるCNFを作る技術だ。竹を原材料とする場合、いくつかの制約があると衣本氏は言う。
「重要なのは加工する場所。その理由は竹の構造にあります。セルロースは竹10gから約2g程度を採取できますが、運搬する際、竹は中が空洞なのでカサに対して重量をそれほど多く運べません。つまり、竹の採取場所と加工場所が遠いと、運搬コストがより多くかかってしまうのです」
しかし、加工場所を竹が豊富な山間地に作ろうとすると、今度は使用する薬剤の種類に制限がかかり、廃液処理の問題が生じる上に、人手不足の問題もあって大規模なプラントを作ることが難しい。こうした課題をクリアするために、衣本氏は竹をCNFに加工するまでの工程を切り分けて組み立てることにした。
「最初に竹綿と呼ばれる素繊維を作ります。加工手順は竹の皮をむき、家庭で使うような圧力鍋で薬品と一緒に煮込み、ミキサーにかけるだけ。これならばプラントは小規模でよく、山間地に暮らす高齢者の方にも作業をお願いできます」
竹綿は文字通り綿の状態なので、竹そのままより運びやすく、そこからセルロースを取り出す工程は別の場所で行うことが可能だ。使用する薬剤も廃液処理の問題等を考慮し、食品工場での使用が認められているものを使う技術を確立した。
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