Buzcycle 世界が注目する昆虫食の可能性を追究

近年、新たな動物性タンパク質源として昆虫が世界的に検討されている。用途は人間がそのものを食べる、いわゆる昆虫食から、畜産物の飼料まで幅広い。Buzcycleの毛利謙太氏は独学で養殖技術の研究を重ね、現在では月間1トンにも及ぶミールワームを生産している。

毛利 謙太(株式会社Buzcycle 代表取締役)

新しい事業を興したい!
昆虫のポテンシャルに着目

2023年8月、昆虫飲料「タガメサイダー」や、昆虫ふりかけ「ふりふりちょい虫」などの商品で知られる昆虫食品メーカーのTAKEOが大分県産ミールワームを100%使用した昆虫煮干しを発売した。気になるその味は「クセがなくて食べやすい。ナッツのような甘い風味が特徴」だという。国内を代表する昆虫食品メーカーに原料のミールワームを供給しているのが、大分県中津市に本社を置くBuzcycleの毛利謙太氏だ。

昆虫食品メーカーのTAKEOから発売された「大分ミールワーム」

そもそも毛利氏がミールワームに関心を持つようになったきっかけは、ゴミ収集運搬業務のアルバイト経験をしていた頃にさかのぼる。「このままで人生終わりたくないと思い、ゴミ周りのことでなにか新しい事業を興せないかとずっと考えていた」という毛利氏が注目したのが、夏場になると食品廃棄物に集まってくる虫だった。

「食品残渣を分解する能力を持つ虫を使って何か事業ができないか」

アルバイトを続ける傍ら、虫の養殖技術の研究を進め、自動翻訳機能を使って海外の論文を読み漁った。昆虫でビジネスを興すならば、どの昆虫が育てやすく、事業性があるのかを徹底的に調べたところ雑食性のある昆虫として候補に挙がったのがミールワームのほかにコオロギ、イエバエ、アメリカミズアブだった。

それぞれについて実際に育ててみたところ、イエバエとアメリカミズアブは飛び回るため、飼育にはより広いスペースが必要で生産効率が悪いと気づく。コオロギは悪くないが、競合多数のレッドオーシャンだ。ミールワームは卵から成虫になるまでの生産サイクルが最も遅く、非効率的に見えたが、その頃には水産養殖用飼料としての販売から始めようとの思いが固まっていた。

「もともと昆虫が好きだったわけではなく、純粋にゴミを処理する虫の能力ってすごいなという関心から始まりました。最後は養殖用飼料としての機能性を考えたときに、ミールワームが最も優れているという論文を読んだことが決め手になりました」

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