住民サービスを支えるZoomのイノベーション 妙高市の自治体DX

地方自治体の職員が減少していく中で、住民サービスをどう維持していくかが課題となっている。市民生活の質の向上を目指す妙高市長の城戸陽二氏と、自治体のDXを支援するZVC JAPAN社長の下垣典弘氏が「誰一人取り残されない」社会の実現に向けた方策について語り合った。

住民サービスでも活用が広がる
Zoomのソリューション

コロナ禍で広く利用されるようになったビデオ会議サービス「Zoom Meetings」を提供するZoom Video Communications(以下ZVC)。その日本法人であるZVC JAPAN代表取締役会長兼社長の下垣典弘氏は、創立当初からのカルチャー「Delivering happiness(すべての人に幸せを届ける)」を体現すべく、新たなビジョン「One Platform delivering limitless human connection(ひとつのプラットフォームが世界を変える 無限に広がる人とのつながり)」を掲げたことに言及した上で、同社の取り組みを紹介した。

下垣典弘 ZVC JAPAN 代表取締役会長兼社長

「Zoomと言えばビデオミーティングしかないと思われがちですが、今、大手企業、中堅中小企業、スタートアップ企業で利用が進んでいるクラウド電話をはじめ、チームチャット、コールセンター、AIを活用したミーティングの要約など、様々なソリューションを世の中に提供しています」

これまでは主に企業や学校などで利用が進んでいたZoomだが、自治体においては住民とのコラボレーションへと活用の幅が広がっている。自治体職員が減少する中で、人と人をつなぐプラットフォームであるZoomを住民サービスに利用することで、市民生活の質の向上が可能になるという。

「私たちはどこにいても誰とでもコミュニケーションができるだけではなく、教育、医療、福祉、防災などの幅広い分野で、住民がより良いサービスを平等に受けられる社会の実現を目指してきました。現在は13の自治体と連携協定を結び、実証実験などを通じて自治体DXを支援しています」

教育・防災・起業など6分野で
ZVC JAPANと連携協定を締結

ZVC JAPANが自治体DXの推進において県レベルの締結に続いて、初めて協定を締結した市町村が新潟県妙高市だ。妙高市は「誰一人取り残されない」というSDGsの考えを取り入れ、人と自然が共生する持続可能なまちを目指す優れた取り組みを行う自治体として「SDGs未来都市」に選定されている。それゆえ、早い段階からDX の可能性に注目していたが、多くの地方自治体と同様に人口減少や少子高齢化の課題を抱えている。妙高市長の城戸陽二氏はZVC JAPANとの連携の経緯をこう語る。

城戸陽二 妙高市 市長

「妙高市の人口は3万人を割り、2060年にはその半分以下まで減少することが推計されています。限界集落や豪雪地帯を抱えていることもあり、Zoomを活用することで、市民生活の質の向上と行政の効率化・省力化を図り、スマートシティの実現を目指そうと考えたのです」

連携内容は「学校教育における授業効果や学力の向上」、「多様化する保護者ニーズに対応した学校・保育サービスの充実」、「遠隔による各種相談業務や市民講座などの支援」、「防災、減災」、「起業家支援やビジネスマッチング」、「SDGs、地方創生への取り組み」の6つの分野にわたる。

なかでも、最も注力しているのが教育分野だ。市内小中特別支援学校での遠隔交流学習に役立てている他、小規模校と他校や海外の学校をつなぎ、グローカル人材の育成にも活用。保育園やこども園の各種行事をオンライン配信する他、保育園への入園を希望する市外の保護者に対してオンライン面談も行う。

Zoom活用の場は公共サービスにも広がっている。「市役所へのアクセスが不便な住民のために、住民票の交付やマイナンバーカードの申請、健康指導などができる車両を『移動窓口号』として導入し、移動先と本庁の各課をオンラインで結んで手続を行っています。また、選挙の際には『移動期日前投票所』として市役所や支所から遠い地域を巡回し、投票機会の向上に寄与しています」(城戸氏)

妙高市は市役所へのアクセスが不便な住民のために、Zoomを活用して住民票の交付等ができる車両を『移動窓口号』として導入

テレワーク施設を起点に
関係人口の創出を促進

2022年7月には、「Powered by Zoom」認定施設の日本第一号として、妙高山の麓にテレワーク研修交流施設「MYOKO BASE CAMP」をオープンした。コワーキングスペースやシェアオフィススペースを備えると同時に、ワーケーション事業やビジネスマッチング事業などの各種事業も行う。デジタル機器はもちろん、ワークスペース全体の空間デザインもZVC JAPANのオフィスデザイン・チームが監修し、手ぶらで来てもストレスなく仕事できる環境が整備された。

妙高山の麓にオープンしたテレワーク研修交流施設「MYOKO BASE CAMP」。
導入機器や空間デザインをZVC JAPANが監修した

城戸氏によれば、妙高戸隠連山国立公園内という絶好のロケーションに加え、「妙高高原ビジターセンター」が隣接していることも奏功し、仕事の合間にアウトドアを楽しむワーケーション利用が多いという。事実、「施設にいながらオンオフの切り替えが出来る」と年間入場者数は人口と同程度まで増加している。「移住・定住のハードルを下げるために、妙高ベースキャンプを活用して関係人口を創出しながら、地域課題を解決していきたいと考えています」(城戸氏)

入国制限の緩和により、外国人観光客数はピーク時の8割まで回復した。これを受けて、城戸氏は2つのインバウンド対策を検討していると話す。

「良質なパウダースノーに恵まれた妙高市には海外からのスキー客が多く、インバウンド全体の6割以上を占めるのがオーストラリア観光客です。オーストラリアの方は足跡一つないまっさらな新雪を滑るために、あえて天気が悪い日にスキーを楽しまれます。そのため、Zoomを活用して晴れた日も楽しめるコンテンツなどを提供したいと考えています。もう一つは、レジャーを安全に楽しんでいただくため、山の天候情報などをオンライン配信することを検討しています」

最後に、城戸氏は「免許を返納したら生活が成り立たない地域も多いため、将来的には自動運転に関するサービスなどがあれば非常に助かります。ビデオミーティングだけではない新たなサービスを生み出しているZVC JAPANには、今後のさらなるソリューション提供に期待しています」とコメントした。これを受けて、下垣氏は「今年、還暦を迎えることもあり、老後のデザインを自身のテーマとして設定しています。特に高齢者の生活の質の向上に関心を持っているため、妙高市を好事例に、今後も誰もがデジタル化の恩恵を享受できるまちづくりに貢献していきます」と締め括った。

新潟県妙高市の取り組み 
https://blog.zoom.us/ja/myoko-city/

 

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