受け継ぐべきものと変えるべきものを見据え、いけばなを次世代へ
華道家元池坊の歴史上初めて女性家元となる池坊専好の長子、池坊専宗。昨年の大阪・関西万博では、デジタルとアナログが溶け合う空間に生けた、184日間の移ろういけばなが話題となった。池坊の未来を担う存在と期待を受けて育ちながらも、花の道一筋に歩んできたわけではない。野球に明け暮れ、法律を学び、師と出会う中で培われた感性や価値観で、伝統の本質を見つめている。
文・油井なおみ

池坊 専宗(華道家 写真家)
花とはちがう道に進み
出会った憲法十三条の思い
雨に濡れたアスファルトに、ぽとりと落ちたパンジーの花。
池坊専宗は雨に濡れるのも構わず傘を置き、シャッターを切った。
「一万人いたら、一万通りの日常の美しさがどこにでもあるはずなんです。一年に一度しか巡ってこない光景を求めて辺境まで旅するのも悪くないと思いますが、昨日は咲いてなかった花が咲いている、今日は日差しが気持ちいい、とか。無理に探さなくても、本当はすぐそばにあるんです」
心が動いたときに立ち止まる。それは池坊専宗の生き方そのものでもある。
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