キタ・マネジメント 大洲を、世界から選ばれる持続可能な観光地に

歴史的な町並みが残る城下町である大洲市は、町家取り壊しの危機がきっかけとなって進められた官民連携のまちづくりにより、インバウンドにも人気の高い観光地へと生まれ変わった。まちなみ景観の維持に向けどのように連携し、再生への道筋をつけたのか。キタ・マネジメント代表理事の髙岡氏に聞いた。

一般社団法人キタ・マネジメント代表理事 髙岡公三氏

町家取り壊しの危機から
景観保全の取り組みを開始

愛媛県西部に位置し、北は瀬戸内海、南は四国山地に面した大洲市。4棟の櫓が国重要文化財に指定されている大洲城を中心に整備された碁盤目状の町割りに町家が建ち並び、歴史的景観を形成している。だが近年、空き家となった町家の多くが手入れされず、老朽化が進んでいることが大きな問題となっていた。

小高い丘の上に建つ大洲城。旧城下は「伊予の小京都」と呼ばれる
Photo by Hayakato/Adobe Stock

大洲市では、行政が町家の修復の補助制度や景観条例の制定によって、約20年以上景観を守るべく取り組んでいた。しかし、約7年前、こうした町家の取り壊しや売却などを希望する声が急増するようになったことから、同市の歴史的建造物を活用した観光まちづくりのプロジェクトが本格始動することとなった。当初は、若手の市役所職員や住民有志が空き家となった町家の清掃活動をしたり、家主から無償で空き家を借り、百年前の町並みを再現するイベントなどを開催していた。

「しかし、大洲市は、空き家が民間で活用されなければ、景観保全の取り組みは継続できないと判断しました。町家をホテルや旅館に再生する案が持ち上がるも、資金をどう工面し、どの事業者に任せればよいかわからず壁にぶつかっていたのです。そこで大洲市は2017年6月、伊予銀行の地域創生部を頼りました」とキタ・マネジメント代表理事の髙岡公三氏は語る。当時、髙岡氏は伊予銀行地域創生部の部長を務めていた。

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