デマンドレスポンスのDX 再エネ時代の電力最適利用に貢献

小売電気事業者が、ユーザーである事業者に対し簡単にデマンドレスポンス(DR)対応を始められるサービス。インフォメティスが提供を開始した「BridgeLAB DR」は、小売とユーザーを橋渡しするしくみだ。再生可能エネルギ―の普及を促すうえでも欠かせないDRで、電力の最適利用を促していこうとしている。

渡邉弘樹(インフォメティス 電力ソリューション事業本部 本部長、執行役員)

電力逼迫のピンチを事業機会に
小売電気事業者のDRに着目

日本卸電力取引所(JEPX)の市場価格が2020年12月から翌1月にかけて急騰したことは記憶に新しい。液化天然ガス(LNG)の調達不足に加え、寒波の影響で電力需要が大幅に増加したことが引き金となり、それまで1kWhあたり6〜9円/kWh程度だったスポット価格が一時的に20倍以上の200円/kWhを超えた。JEPXから電力を仕入れていた小売電気事業者は、販売単価との逆ザヤが生じ、大きな損失を被った会社もあった。

その際一躍注目を集めたのが、需要家が自らの電力使用量を調整することで、需給バランスに貢献するDR(デマンドレスポンス)。工場・オフィスの操業を早めに切り上げる、あるいは休業とするなどして電力消費を減らせば、相応の対価(インセンティブ)が得られるものだ。これを受けて、インフォメティスは、小売電気事業者向けのクラウド型DR支援サービス「BridgeLAB DR」を2021年12月に立ち上げた。小売電気事業者から法人を中心としたユーザーに対し、メールで一斉に節電を要請できるようにし、要請に応じた際のインセンティブについても小売電気事業者側で設定可能にしたサービスだ。

インフォメティスは、ソニーが開発した「機器分離推定技術」を元に2013年に設立された企業。機器分離推定技術は、家庭の分電盤の測定データから、家の中のどの家電がいつ、どれくらい使われているかを自動的に分析してデータ化する技術だ。創業以来、エネルギーデータの多様な分析が可能な技術と人材を抱え、AIによる節電支援のソフトウェアやエネルギーデータをフル活用するための最先端AIエンジンなどを開発、提供してきた。

「BridgeLAB DR」の開発を担当した、同社電力ソリューション事業本部 本部長 執行役員の渡邉弘樹氏は、複数企業で電力小売ビジネスを主導したスペシャリストで、2021年に「IT、DXを活用して小売電気事業者の事業をサポートしたい」と考え、インフォメティスに入社した。

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