観光業界活性化のため、他業界からの新規参入促進の仕組み作りを

コロナ禍での人員削減や新規採用の抑制の影響で、現在、観光産業の事業者はどこも人手不足に陥っている。コロナ禍で人々の価値観が変化し、サステナブルやDXなどの新たな概念も定着しつつある中、今後どのように人材を確保し、育成していけばいいのだろうか。大阪観光大学の小野田教授に話を聞いた。

小野田 金司(大阪観光大学観光学部観光学科 教授)

コロナ禍で人材が他市場に流れ、
業界全体が深刻な人手不足に

2019年から大阪観光大学で教鞭を執る小野田金司氏は「近年、観光産業を取り巻く状況は大きく変化した」と話す。小野田氏は近畿日本ツーリストに22年勤務した後、和歌山大学大学院の地域マネジメント専攻で修士課程を修了し、2007年から大学教授に。観光人材の育成やイベントのプロデュースを専門として、自治体の観光アドバイザーなども多数務め、観光産業に40年以上関わってきたベテランだ。

観光産業には現在、どのような課題があるのだろうか。

「コロナ禍の3年間で、国内の観光人材はどんどん他の市場に流れて、減少しました。また、コロナ禍と円安の影響を受け、外国人労働者も減りました。このような状況の中、インバンドをはじめとした観光需要が急激な回復基調にある今は、人手不足が深刻です。エアラインや旅行会社、ホテルなど、どこも似たような状況です」(小野田氏)

では、人手不足という課題をどのように解決していけばいいのか。小野田氏は大前提として、「観光産業の重要性や魅力をもっとアピールすべき」だと言う。

「人口減少が進む日本において、観光は将来にわたって非常に重要な産業です。実は今、観光業界には強い追い風が吹いています。『コロナ禍が終息したら行きたい国』を欧米豪やアジアで聞いたところ、日本が1位だったというアンケート調査結果があります。世界中の人が日本に行きたいと思っているわけです。私は観光業に関わって40年以上経ちますが、かつてない人気ぶりと言えます。ここで観光をきちんと収益化していけば、地方も生き残ることができる。観光のステータスを上げる正念場だと思います」

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